Liquid AIは2026年10月27日、小型AIモデルの新世代「LFM3」を発表しました。文章、画像、音声、それらを組み合わせるモデルをそろえ、パソコンやモバイル端末で、用途を絞ったAIを動かすことを目指すシリーズです。学習済みのモデルは公開され、手元で実行したり、自社向けに調整したりできます。[1]
たとえば、作業中の音声メモを文字にする、商品写真について質問する、写真を見せながら声で尋ねる。LFM3は、こうした身近な入力を業務に組み込む候補です。この記事では、モデルごとの違い、日本語への対応、端末で使う条件、費用と商用利用を整理します。仕様は2026-10-28時点の一次資料に基づきます。CAGではLFM3の実行、日本語品質、速度、使用メモリ、実費は検証していません。業務例は設計例です。

01 LFM3とは──仕事の入力に合わせて選ぶモデル群
LFM3は、ひとつのチャットサービスの名前ではありません。入力するものと、欲しい答えに合わせて選ぶモデル群です。モデルはAIが学習した仕組みで、使うには対応する実行ソフトやアプリが必要です。
最初のリリースは、おおむね20億パラメーター規模を中心にしています。パラメーターはモデルの規模を表す値で、数が小さいほど必ず実務に向く、という意味ではありません。[1] まずは、入出力の違いを見ると選びやすくなります。
| モデル | 公式仕様の入出力 | 考えたい用途 |
|---|---|---|
| LFM3-1.7B | テキストを受け取り、テキストで回答 | 文章の整理、項目の抽出、道具への指示 |
| LFM3-VL-2B | テキスト・画像・動画を受け取り、テキストで回答 | 写真、書類、画面についての質問 |
| LFM3-Audio-2B | テキスト・音声を受け取り、テキストや音声で回答 | 文字起こし、読み上げ、音声での指示 |
| LFM3-Omni-2B | テキスト・画像・動画・音声を受け取り、テキストや音声で回答 | 写真を見せながら声で質問する |
| d1-2B | テキスト・画像・動画を受け取り、構造化した判断を返す | 分類、振り分け、項目の抽出 |
表はモデル仕様上の対応です。[2] 実際のアプリで使える入出力は、実行ソフトの対応状況によって変わります。音声だけを扱うならAudio、画像と声を一緒に扱うならOmni、というように、必要な入力から選ぶのが出発点です。
また、1.7Bの公式モデル説明は、複雑な多段推論や本格的な自律コーディングを推奨用途にしていません。[2] 幅広い仕事を一括して任せるより、資料や答えの形式を決められる仕事から考えると、LFM3の位置づけがつかめます。
02 音声・画像で何ができるか──業務への当てはめ方
LFM3-Audioは、音声認識、読み上げ、音声翻訳、音についての質問、声から道具を呼び出す用途を案内しています。Omniは、画像と声を一緒に受け取ることもできます。[2] キーボードに入力する前の情報を、そのまま扱うところに使い道があります。
| 仕事の設計例 | AIに任せる部分 | 人が確認する部分 |
|---|---|---|
| 現場の音声メモ | 話した内容を文字にし、決めた項目に整理する | 人名、数値、作業内容の取り違え |
| 商品写真の確認 | 写真の特徴を説明し、台帳との照合材料を作る | 型番、寸法、見た目だけでは判断できない仕様 |
| 写真を使った音声問い合わせ | 写真と話した質問を受け取り、回答案を作る | 回答の根拠、相手に伝えてよい内容 |
たとえば備品の点検なら、写真と「この部分の状態を記録して」という音声から、点検記録の下書きを作る流れが考えられます。モデルに渡すのは、記録する項目、使ってよい情報、分からない場合の答え方です。写真だけでは分からない故障原因まで推測させず、記録と判断を分けます。
声で「記録して」と言えることと、業務ソフトに保存されることも別です。保存や送信を行う道具と、使える権限はアプリ側で用意します。 音声の聞き取り、回答案、保存後の記録をつなぎ、どこまで完了したかを確かめられるようにします。
最初は、元の音声・写真と出力を並べて確認できる下書きにすると、日々の作業に合うかを判断しやすくなります。
03 日本語と端末の条件──モデルと実行ソフトをそろえる
テキスト用、画像用、音声用、Omniの公式モデル説明には、日本語が対応言語として掲載されています。[2] ただし、対応言語に入っていることと、自社の用語を正確に扱えることは別です。社名、商品名、方言、騒音のある場所での発話など、使いたい条件を含めて確かめます。
端末で使う際は、モデルの名前に加えて、配布形式と実行ソフトをそろえます。GGUFやMLXは、モデルを対応するソフトで読み込むための配布形式です。[3]
| 選び方 | 主な対象 | 確認すること |
|---|---|---|
| GGUFとllama.cpp | CPU・GPUを使うローカル実行 | そのモデルと入出力に対応した版か |
| MLX形式と対応ソフト | Apple Silicon搭載Mac | テキスト用・画像用・音声用のどこまで対応するか |
| BF16形式と対応ソフト | GPUを使う開発・配信環境 | 必要なメモリ、処理量、運用方法 |
LFM3-1.7Bについて、公式は4ビット時に約1GBのメモリと案内しています。[2] これは、すべてのLFM3や、アプリ全体が1GBで動くという条件ではありません。画像・音声の処理、会話履歴、同時に扱う件数、実行ソフトの分も含めて、使用メモリを測ります。公式の機器評価ガイドも、入力の長さごとのピークメモリや応答時間を記録する手順を示しています。[4]
新モデルでは、モデルの仕様と実行ソフトの実装を合わせて読むことも必要です。llama.cppのAudio・Omni対応コードは2026-10-27に統合されましたが、その変更説明は動画入力を後続対応としています。[5] モデル側に動画対応の記載があっても、手元のソフトで直ちに同じ機能が使えるとは限りません。
まずは選んだモデルの公式説明から対応する配布先へ進み、実行ソフトの版と、使いたい入力を確認します。既存のソフトにモデル名を入れるだけで使える、と一括して考えないことが大切です。
04 費用と商用利用──実行場所とライセンスを確認する
LFM3は、学習済みの重みが公開されたモデルです。重みとは、実行ソフトが読み込む学習結果のデータです。ダウンロードできること、実行費用、商用利用の条件は分けて確認します。
| 実行方法 | 費用に含めるもの | 導入前の確認 |
|---|---|---|
| 手元の端末で実行 | 機器、電力、設定と保守、確認・修正の時間 | 使用メモリ、応答時間、既存業務との接続 |
| 自社でサーバーを運用 | 上記に加えてサーバー、配信、監視の費用 | 同時利用、障害時の対応、運用担当 |
| 外部APIを利用 | 利用先の従量料金、追加機能、通信の費用 | モデル名、課金単位、データの送信先 |
Liquid AIはLFM3のAPI提供も発表しています。[1] 一方、2026-10-28に確認した公開料金ページでは、LFM3のモデル別単価を確認できませんでした。[6] APIで試す場合は、利用するサービスのモデル名と料金表示を確認し、端末で動かす場合の費用と比べます。
商用利用にはLFM Open License v1.0が適用されます。公式ライセンスガイドは、年商1,000万米ドル未満なら条件に従って無償で商用利用でき、1,000万米ドル以上では別の商用ライセンスが必要と案内しています。売上規模は、支配関係にある会社などを含む「Legal Entity」の定義で扱われます。[7]
調整したモデルを必ず公開する義務はありませんが、再配布する場合のライセンス同梱や表示などの条件は残ります。[7] 自社内で使うのか、顧客の端末に組み込んで配るのかまで決めて、対象モデルに付属する条件を確認します。
05 どの仕事から試すか──一つの入力と完成形を決める
導入の起点は、モデルの大きさの比較より、繰り返し発生する一つの仕事を選ぶことです。音声メモを点検記録の下書きにするなら、録音の長さ、記録する項目、完成形、確認する担当者を先に決めます。
- 入力を用意する。 実際の利用条件に近い音声や写真と、期待する答えをそろえます。
- 対応するモデルと実行環境を選ぶ。 音声だけか、画像と声を組み合わせるかで候補を絞ります。
- 品質と作業全体の負担を比べる。 聞き取りや抽出の正しさ、応答時間、使用メモリ、確認・修正の時間を記録します。
- 任せる範囲を決める。 下書きまでか、保存までか。分からない入力で止まれるかも確認します。
Liquid AIの用途評価ガイドも、実際の製品で使う入力を選び、現在のモデルと品質・待ち時間・費用・組み込みやすさを比較するよう案内しています。[8] 公表された評価値は、試す候補を選ぶ材料にし、自社の条件での結果と分けて扱います。
LFM3に写真や音声の整理を任せ、難しい判断や長い制作は別のモデルや人につなぐ構成も考えられます。手元で動く小型AIを選択肢に加え、確認する手間まで含めて仕事が軽くなるかを見る。その順番なら、LFM3の用途と導入条件を、具体的な業務に結びつけて判断できます。

出典・確認範囲
- Liquid AI公式発表と日付付き公式ニュース一覧。LFM3の発表日は2026-10-27。モデル群、公開重み、API提供の案内を確認。性能は提供元の評価で、CAGのモデル実測ではありません。
- 公式モデル説明:LFM3-1.7B、LFM3-VL-2B、LFM3-Audio-2B、LFM3-Omni-2B、d1-2B。入出力・用途・言語・配布形式を確認。約1GBは1.7Bモデルの4ビット時についての提供元の説明です。2026-10-28時点。
- Liquid AIのllama.cpp導入案内とMLX導入案内。ソフトの選び方は一般の実行経路として参照。各LFM3の対応は個別モデル説明と実装側の情報を優先します。
- Liquid AI機器評価ガイド。ピークメモリ、入力の長さ、応答時間などの測定項目を参照。掲載されている旧世代モデルの測定値をLFM3の実測値として転用していません。
- llama.cppのAudio・Omni対応変更。2026-10-27統合。モデルの入出力と、この実装における動画の後続対応を区別。配布済みアプリや全バイナリの対応を保証するものではありません。
- Liquid AI公開料金ページ。2026-10-28取得時、LFM3のモデル別単価は確認できず。旧モデルやd1の掲載単価をLFM3各モデルへ流用していません。
- LFM Open License公式ガイドとライセンス原文。商用利用の年商条件、Legal Entity、調整・再配布の条件を確認。2026-10-28時点。
- Liquid AI用途評価ガイド。実際の入力、比較相手、品質・速度・費用の比較方法を参照。この記事での業務フローは設計例です。









