Decisions APIとは​──問い​合わせ仕分けの​料金と​導入条件

問い合わせを決まった分類へ振り分けるDecisions APIの使いどころ、料金、人に判断を戻す条件を整理します。正式提供後の仕様と、日本語の仕分け設計例を公式資料で解説。

甲斐ショウジ甲斐ショウジ
CAG主宰/合同会社ATK CAIO(最高AI責任者)
技術9分で読めます
技術Decisions APIとは──問い合わせ仕分けの料金と導入条件

Decisions APIは、文章や画像をもとに、あらかじめ決めた選択肢からの分類や、条件の判定を返すOpenAIのAPIです。APIとは、自社のシステムから別のサービスを呼び出すための接続口のこと。問い合わせの担当部署を選ぶ、写真に傷があるかを判定する、といった仕事に組み込めます。[1]

2026年10月22日に正式提供が始まりました。中小企業で考えやすい入口は、届いた問い合わせを「営業相談」「請求」「操作の質問」「要確認」に仕分ける使い方です。この記事では仕組み、振り分けの設計例、料金、導入前に決めておきたい条件を整理します。仕様・料金は2026年10月23日時点。日本語の例はCAGが作成した設計例で、APIの実行結果や精度の実測ではありません。

問い合わせの仕分けを表す机とノートパソコンのイメージ
問い合わせを振り分けるAI生成イメージ。実際のDecisions APIの画面や実行結果ではありません。

01 Decisions APIとは​──​「次に​どこへ​回すか」を​返す仕組み

入力・判断・次の処理を分ける入力・判断・次の処理を分ける入力文章・画像・JSONDecisions API決めた基準で判定自社システム担当へ・人へ確認入力・判断・次の処理を分ける入力・判断・次の処理を分ける入力文章・画像・JSONDecisions API決めた基準で判定自社システム担当へ・人へ確認
Decisions APIが返すのは分類などの判断データ。担当者への通知や実行は接続するシステム側で設計します。

Decisions APIを使うときは、入力だけでなく何を判断し、どんな形の答えを受け取るかを先に決めます。担当部署なら選択肢、傷の有無なら条件、深刻さなら段階ごとの基準を用意します。対応モデルはGPT-6 Lunaです。[1][3]

答えの種類 受け取るもの 仕事に置き換えた例
条件の判定(predicate) 指定した条件が成り立つ確率 商品の写真に目立つ傷があるか
選択肢からの分類(choice) 用意した選択肢と、その確率分布・自信度 問い合わせをどの担当へ回すか
基準に沿った採点(score) 段階ごとの確率を加味した点数 問題の深刻さを決めた基準で評価する

ここで返るのは判断のためのデータです。メールの転送や顧客情報の更新を実行するのは、接続した自社システム側。どの結果なら実行してよいか、どの結果なら人に見せるかも、導入する側が決めます。[3]

公式の変更履歴では、10月6日に公開ベータ、10月22日に正式提供へ移行したことが確認できます。正式提供時には、共通の入力を再利用するキャッシュ、JSON形式のデータ入力、質問ごとの画像指定などが追加され、1回に含められる質問は最大400件になりました。これは一括で扱える質問数であり、毎秒400件の処理を保証する数字ではありません。[2]

OpenAIは、同じGPT-6 Lunaを通常のResponses APIで使う場合に比べ、最大10倍高速と説明しています。CAGでは速度や日本語の判定精度を測っていません。この倍率を、自社の問い合わせ対応全体が10倍速くなるという約束には置き換えられません。[1]

02 日本語の​問い​合わせを​仕分けるなら、​まず分類を​決める

分類外の受け皿も用意する分類外の受け皿も用意する問い合わせ基準と照らして分類営業相談営業担当へ請求経理担当へ操作の質問サポートへ要確認人が確認分類外の受け皿も用意する分類外の受け皿も用意する問い合わせ基準と照らして分類営業相談営業担当へ請求経理担当へ操作の質問サポートへ要確認複数用件・分類外
架空の問い合わせの設計図です。APIの実行結果や、日本語精度の実測を示すものではありません。

たとえば、制作会社に届く問い合わせを、次の4つへ振り分けるとします。下表は架空の問い合わせと、担当者が期待する分類を並べた設計例です。Decisions APIがこの通りに答えたという記録ではありません。

架空の問い合わせ 期待する分類 次の処理の設計例
新しい会社案内サイトの費用を知りたい 営業相談 営業担当の確認待ちへ入れる
先月の請求書をもう一度送ってほしい 請求 経理担当の確認待ちへ入れる
管理画面に入れず、更新ができない 操作の質問 サポート担当の確認待ちへ入れる
請求の相談と、サイト改修の見積もりをお願いしたい 要確認 複数の用件として人が読んで判断する

大切なのは、営業・請求・操作という名前より、分類が重なったときの扱いです。「請求」という単語があるだけで経理へ回すと、新しい料金の相談まで経理に集まるかもしれません。用語だけでなく、各分類に含める用件と除外する用件を書いておきます。

「その他」「要確認」の受け皿も用意します。公式ガイドも、選択肢がすべての入力を覆えない場合はフォールバック、つまり該当しない入力の受け皿を置くよう案内しています。[3]

最初の運用では、分類結果を担当者に見せ、人が読んだ正解と照合する期間を設けると判断しやすくなります。短い文、誤字、複数の用件、分類外の相談も混ぜます。「普通の問い合わせは振り分けられた」だけでは、実際に困る境目を調べたことになりません。

03 Decisions APIの​料金──入力分で​計算する

通常入力だけの料金試算通常入力だけの料金試算仮定500トークン × 1万件入力合計500万トークン入力料金0.50米ドル通常入力だけの料金試算通常入力だけの料金試算仮定500トークン × 1万件入力合計500万トークン入力料金0.50米ドル
CAGの仮定による計算例。キャッシュ書き込み・地域内処理などの追加料金や、開発運用費は含めていません。

2026年10月23日時点の基本料金は、GPT-6 Lunaによる未キャッシュ入力100万トークンあたり0.10米ドルです。トークンは、AIが文章などを処理するための単位。日本語の文字数と一対一ではありません。出力トークンの料金はかかりません。[3][4]

料金の項目 基本単価(100万トークンあたり) 読み方
通常の入力 0.10米ドル 再利用されない入力の処理
キャッシュ済み入力の読み込み 0.01米ドル 条件を満たして同じ入力を再利用できた部分
出力 課金なし 分類や判定の結果に対する出力トークン料金

単純な試算として、指示・選択肢・問い合わせを合わせて1件500トークン、1万件を処理すると仮定します。すべて通常入力なら500万トークンなので、入力料金は0.50米ドル。これは公式単価を使ったCAGの計算例で、実際の利用料金の測定ではありません。

この試算には、キャッシュの書き込み、長い入力や地域内処理に伴う加算、画像による入力量の増加、再試行などを含めていません。キャッシュは読み込みが安くなる一方、書き込みには料金がかかります。短い問い合わせを毎回送るだけで、常に読み込み単価になるとは限りません。[3][4]

また、APIの利用料金と、ChatGPTの月額プランは別です。仕分け結果をメールや顧客管理へつなぐ開発費・運用費も、この単価には含まれません。見積もりでは、判断部分のAPI代と、業務として動かすための費用を分けて確認すると読み違えを防げます。[7]

04 導入条件──日本で​使う​ことと、​国内で​処理する​ことを​分ける

利用国・保存・処理は別の条件利用国・保存・処理は別の条件利用できる国API対応国に日本データの保存地域・保持条件を確認推論を行う場所地域内処理の条件利用国・保存・処理は別の条件利用国・保存・処理は別の条件利用できる国API対応国に日本データの保存地域・保持条件を確認推論を行う場所地域内処理の条件
2026年10月23日時点。Decisions APIの地域内処理は米国・欧州。日本からの利用可否と混同せず、契約条件を確認します。

日本はOpenAI APIの対応国に含まれています。利用には、API側のアカウント・プロジェクト・課金設定と、問い合わせ元や担当者の確認画面につなぐ仕組みが必要です。ChatGPTの画面で機能をオンにするだけの仕分けツールではありません。[3][5][7]

問い合わせに顧客名や契約内容が含まれるなら、渡す情報を先に決めます。担当部署の分類に不要な連絡先は取り除けるか、本文をどこへ送るか、記録を誰が見られるかを確認します。標準設定では、不正利用監視のログが最大30日間保持される場合があります。対象顧客向けのZero Data Retention、つまり保存を抑える契約上の仕組みもありますが、適用条件や例外の確認が必要です。[6]

公式ガイドが示すDecisions APIの地域内処理は米国と欧州です。データの保存地域と、AIが推論を行う地域は別の条件なので、日本向けにサービスを提供できることだけで、日本国内での処理まで満たすと判断しないようにします。国内処理が契約要件なら、この違いを発注前に確認します。[3][6]

入力は文章・画像・JSONなどに対応しますが、ファイルや音声をそのまま渡す用途には対応していません。電話の仕分けなら、音声を扱うGPT-Liveなどと組み合わせる別の構成になります。まずは、すでに文字で届いている問い合わせから検討すると、必要な接続を絞れます。[3]

仕分けに迷う問い合わせを人が確認する作業画面のイメージ
人が分類を見直す作業のAI生成イメージ。実際の判定精度や導入実績を示すものではありません。

05 人に​戻す条件まで​決めて、​小さく​始める

人が確認する経路を残す人が確認する経路を残す判定結果基準を確認分類が決まる担当者の確認待ちへ迷う・返らない人が確認する受け皿へ人が確認する経路を残す人が確認する経路を残す判定結果自社データで確かめる分類が決まる担当者の確認待ちへ迷う・返らない分類外・拒否・通信エラー人が確認する受け皿へ
CAGが提案する運用設計。基準の境目・分類外・拒否・通信エラーは、問い合わせを残して人の確認へつなぎます。

Decisions APIの返す自信度は、導入先の正答率そのものではありません。公式ガイドは、自分たちの正解付きデータで、振り分けや人の確認に回す境目を決めるよう案内しています。間違って別部署に回す場合と、必要な相談を見落とす場合では、業務への影響も異なります。[3]

運用設計では、分類外・複数用件・判断の拒否・通信エラー・応答待ちの時間切れを、人が見られる確認待ちへ送る扱いを用意します。結果が返らなかった問い合わせも、処理済みにせず残す必要があります。返金や契約変更など、間違いを戻しにくい操作は、分類結果だけで確定せず、人の確認を挟む設計から検討します。[8]

すべての仕分けをAIに任せる必要もありません。判断したい入力と答えの形を先に並べると、道具を選びやすくなります。

方法 向いている仕事 導入前に確かめること
固定ルール フォームの選択項目や明確な条件で分ける 例外をルールで説明できるか
Decisions API 自由文などを、決めた分類・条件・基準へ当てはめる 分類の定義、境目の正解例、人へ戻す条件
文章生成を行うAPI 返信案の作成、長文の要約、説明文の作成 内容の正しさ、確認方法、送信前の承認

最初に決めたいのは、①何を分類するか、②どんな失敗を見落としてはいけないか、③誰が確認するかの3点です。問い合わせの振り分け候補を出すところから始め、人が直した結果を集める。その記録をもとに任せる範囲を広げる進め方なら、APIの安さだけでなく、担当者の手間が減ったかまで判断できます。

出典・確認範囲

  1. OpenAI「Build more responsive apps with the Decisions API」(2026-10-22)。正式提供、GPT-6 Luna、最大10倍という公式説明。速度・日本語精度はCAG未実測。公式発表
  2. OpenAI API Changelog(2026-10-06、2026-10-22)。公開ベータから正式提供への移行と変更点。変更履歴
  3. OpenAI API「Decisions」(2026-10-23確認)。答えの型、入力、フォールバック、評価、料金・提供条件。公式ガイド
  4. OpenAI API Pricing(2026-10-23確認)。標準GPT-6 Lunaの入力・キャッシュ単価と追加条件。Decisionsの出力非課金は公式ガイドと突合。公式料金
  5. OpenAI API「Supported countries and territories」(2026-10-23確認)。日本を対応国として掲載。対応国
  6. OpenAI API「Data controls in the OpenAI platform」(2026-10-23確認)。Decisionsの保存・ZDR、保存地域と処理地域の違い。データ管理
  7. OpenAI Help Center「Managing billing for ChatGPT and the API platform」(2026-10-23確認)。ChatGPTとAPI Platformの課金は別管理。課金の説明
  8. OpenAI API「Safety best practices」(2026-10-23確認)。用途に合う評価、人による確認、入力・出力の扱い。導入時の確認

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