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2026年9月16日、AnthropicはClaudeの「チャット」と「Cowork」(作業を任せるための別画面)を1つに統合すると発表しました[1]。同時に、共同編集できる文書を作るClaude Docsと、プレゼン資料を作るClaude Slidesがベータ版で加わっています。
先に結論です。使う側が何もしなくても、画面も初期設定も変わります。しかも移行は一方通行で、初期設定の向きはプランによって正反対です。個人向けのPro・Maxでは新機能が最初から使える状態で届き、大企業向けのEnterpriseでは最初は閉じた状態で届きます。
この記事で分かること:
- 何が1つになり、何が新しく加わったのか
- Claude Docs・Slidesでできることと、ベータ版の制限
- 何もしなかったら何が起きるか(プラン別の表)
- 「PCを閉じても作業が続く」ことの意味
- 使い始める前のチェックリスト
01 Coworkとチャットが「1つのClaude」になった
これまでClaudeには、質問に答える「チャット」と、調べ物や資料作成を丸ごと任せる「Cowork」という2つの入り口がありました。入力欄の左下で、どちらを使うか選ぶ形です。
統合後は、この選択がなくなります。依頼を書くと、Claudeが「すぐ答えればよい質問か、時間をかけて片付ける作業か」を自分で判断します[2]。公式ブログは統合の理由を、利用者から「作業をどちらに置くか決めるのが面倒」「片方で始めた作業がもう片方に引き継がれない」という声があったから、と説明しています[1]。
変更点を整理すると次のとおりです。
| 項目 | 統合前 | 統合後 |
|---|---|---|
| 入り口 | 「Chat」と「Cowork」を選ぶ | 選択なし。Claudeが判断する |
| Web検索 | 「+」メニューのスイッチでON/OFF | スイッチなし。必要なときにClaudeが検索する[3] |
| 調査(Research) | メニューから選ぶ | /deep-research と入力、または「+」から選ぶ |
| Coworkのタスク | Coworkの画面に一覧 | チャットと一緒に「Recents」に並ぶ |
| 元に戻す | ― | 戻せない(新画面に移ったアカウントは旧画面に切り替えられない)[2] |
提供はPro・Maxプランから、数週間かけて段階的に進みます。同じプランでも届く時期はアカウントごとに違います[2]。TeamとFreeは「近日」、Enterpriseは変更の少なくとも30日前に管理者へ連絡するとされています[1]。いまCoworkを使っている人のタスク、プロジェクト、コネクタ(Google DriveやSlackなど外部サービスとの接続)、スキル、ファイルは、そのまま引き継がれます[2]。
02 Claude Docs・Slidesでできること
Claude Docs:Claudeと一緒に書く「生きた文書」
Claude Docsは、会話の中で「この計画を共有用の仕様書にして」と頼むと、Claudeが文書の下書きを画面上で作るツールです[4]。書き始める前にClaudeがいくつか質問し、下書き中には「なぜこう書いたか」をコメントで残します。
- 自分で直接編集しても、会話で「導入を短くしてリスクの節を足して」と頼んでもよい
- 文中を選んでコメントし、
@Claudeと書くとClaudeが修正して理由を返す - 接続したアプリ(SalesforceやGoogle Sheetsなど)のデータからグラフや図を入れられる
- 書き出し形式はWord(.docx)、PDF、Markdown、Googleドキュメント
@Claude に頼むと、Claudeが直して理由を返す(イメージ)便利そうに見える一方で、ベータ版として公式が挙げている制限は少なくありません[4]。
| 制限 | 内容 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 版の履歴がない | 過去の状態に戻す機能がまだない | 大きく書き換える前に書き出して控えを取る |
| 削除は完全に消える | ゴミ箱がなく、共有相手からも即座に見えなくなる | 共有中の文書は消す前に周知する |
| グラフが自動更新されない | 元データが変わっても図はそのまま | 会議の前にClaudeに再取得を頼む |
| コメント専用の権限がない | 共有は「閲覧」か「編集」の2択 | レビューだけ頼みたい相手にも編集権限を渡すことになる |
| 監査ログが部分的 | 文書の作成などは記録されるが、文書内の編集やコメントはまだ記録されない | 監査が必要な文書は別の場所で確定版を保管する |
| スマホは閲覧のみ | テンプレートからの作成、編集、共有設定の変更はWebかデスクトップで | 外出先では確認だけ |
共有範囲はプランで違います。Pro・Maxでは、リンクを知っている人なら誰でも開けます(開くにはClaudeアカウントが必要)。Team・Enterpriseでは組織内でのみ共有でき、社外には出せません[4]。
Claude Slides:会話からそのままプレゼン資料
Claude Slidesは、プレゼン資料を作るツールです。下書きをClaudeが作り、自分で編集することも、Claudeからそのまま発表することもでき、PowerPointかPDFで書き出せます[1]。Docsで作った文書を「スライドにして」と頼むこともできます[4]。
公式ブログの例では、正午締めの週報を朝に頼んでおくと、出社までに文書とスライド5枚が同じ会話から出来上がっており、スライドの内容が報告書と最初から揃っている、という使い方が紹介されています[1]。
なお、Slidesだけを説明するヘルプ記事は、9月17日時点で確認した範囲では見当たりませんでした[9]。制限事項の詳細は、Docsや統合全体のヘルプ記事から読み取るしかない状態です。別製品だったデザインツールの Claude Design も会話の中から使えるようになり、Design単体で使っている人はこれまでどおり使えます[1]。
03 何もしなかったら何が起きるか:プラン別の初期設定
今回いちばん注意したいのは、初期設定の向きがプランによって逆だという点です。ヘルプ記事に散らばっている記述を、プラン別に並べました[2][4][5][6]。
| 項目 | Pro・Max | Team | Enterprise |
|---|---|---|---|
| 新しい画面への移行 | 数週間かけて自動で移る(戻せない) | 近日 | 変更の30日以上前に管理者へ連絡 |
| Claude Docs | 最初からON(設定で個人がOFFにできる) | 最初からON(オーナーがOFFにできる) | 最初はOFF(オーナーがONにする) |
| クラウドでの実行 | 使える | 最初からON | 最初はOFF(オーナーが有効化し、権限をグループに付与) |
| 自動承認モードを選べるか | 個人が選ぶ(既定は手動承認) | 組織設定の既定で選べる状態 | 組織設定の既定で選べる状態 |
| Docsの共有範囲 | リンクを知っている人なら誰でも | 組織内のみ | 組織内のみ |
| 使えない構成 | ― | ― | 暗号鍵を自社で管理(CMEK)、データを保存しない契約(ZDR)、医療向け(HIPAA)の組織ではDocsをまだ使えない |
表から分かるのは、小さい組織ほど「全部開いた状態」で届くことです。Enterpriseは管理者が1つずつ開ける設計ですが、Teamプランは最初からDocsもクラウド実行も有効で、止めたければオーナーが自分でスイッチを切る必要があります。
「自動承認モード」も確認しておきたい設定です。Claudeが操作するたびに許可を求めるのが既定(手動承認)ですが、会話ごとに「自動」へ切り替えられ、この設定は会話全体に効きます[2]。Team・Enterpriseでは、メンバーが自動承認を選べるかどうかを組織で決められますが、既定は「選べる」です[6]。さらに安全確認を一切挟まない「すべての承認をスキップ」というモードもあり、公式は、作業の途中で悪意のある文章を読み込んだ場合(プロンプトインジェクション=文書やWebページに仕込まれた指示にAIが従ってしまう攻撃)にはそれに従って動きうる、と注意しています[7]。
Web検索のスイッチがなくなった点も、見落としやすい変化です。これまでは「この会話では検索させない」と画面で決められましたが、新しい画面ではClaudeが必要と判断したときに検索します。検索させたくない場合は、依頼文で「Web検索は使わないで」と指示するしかありません[3]。
04 「PCを閉じても作業が続く」ことの意味
公式ブログの宣伝文句は「ノートPCを閉じても、Claudeが作業を続ける」です[1]。便利さの裏側で、作業の場所が変わっています。
時間のかかる作業は、手元のPCではなくAnthropicのサーバー上で動きます[5]。構成を説明したヘルプ記事によると、作業ごとに使い捨ての隔離環境が作られ、作業が終わると消されます。この環境からは社内ネットワークに入れず、Enterpriseでは外部へのネットワーク接続も既定でOFFです[8]。
一方で、手元のPCが必要な作業もあります。
| 作業 | どこで動くか | 条件 |
|---|---|---|
| 調べ物、資料作成、コネクタ経由の作業 | Anthropicのサーバー | PCを閉じても続く |
| 定期実行(毎週月曜の週報など) | Anthropicのサーバー | PCの電源が切れていても動く。PC上のフォルダには紐づけられない[10] |
| PC内のフォルダの読み書き | サーバーからPCのアプリ経由 | デスクトップアプリが起動している間だけ |
| ブラウザ操作、画面操作 | サーバーからPCのアプリ経由 | デスクトップアプリが起動している間だけ |
公式は隔離の意味を、「コードがどこで動くかは制限するが、Claudeが何を読み、何をするかは制限しない」とはっきり書いています[7]。接続したメールや文書は、サーバー上でも読めて、操作もできます。
情報システムの担当者に関係するのは次の一文です。クラウド上の作業は社内の端末の外で動くため、端末に入れた監視ツール(EDR)からは見えません。公式も「端末で監視できることが社内ルールの前提なら、展開前にこの点を考慮すること」と書いています[8]。代わりの手段として、組織向けの監査ログ(Compliance API)には記録され、OpenTelemetry(ログを社内の監視基盤へ送る仕組み)で操作履歴を取り出すこともできます[6]。
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利用量にも触れておきます。調べ物やファイル作成を伴う長い作業は、短い質問より多くの利用枠を使います。移行期間中は、新旧の画面で利用量の計り方が少し違う可能性がある、とも書かれています[2]。
移行直後に使えないもの
ヘルプ記事が「現時点の制限」として挙げているものです[2]。
- シークレットチャット(履歴を残さない会話)は旧画面で開くため、ファイル作成やコード実行ができない
- GitHubからのファイル追加、会話の途中からの分岐には未対応
- 過去のCoworkタスクは会話の検索に出てこない(Recentsで名前から探す)
- 外出先からタスクを頼む「Dispatch」は、新規ユーザーには提供されない
前日の発表との食い違い
統合の前日(9月15日)、Anthropicは中小企業向けの「Claude for Small Business」に43種類の業務フローと、Shopify・Stripe・Xeroなど27の連携を追加したと発表していました。その発表には「Claude Coworkというデスクトップアプリ上で動く」と書かれています[11]。翌日にはCoworkという独立した入り口そのものがなくなったため、中小企業向けの紹介ページと統合後の画面では、説明が1日で合わなくなっています。導入手順を社内向けにまとめる場合は、ヘルプ記事の新しい画面の手順を正としてください。
05 使い始める前のチェックリスト
個人(Pro・Max)で使う場合
- 入力欄に「Chat / Cowork」の切り替えがあるか確認する(なければ移行済み、戻せない)
- 検索させたくない会話では、依頼文に「Web検索は使わない」と書く
- Docsを共有するときは、リンクを知る人なら誰でも開ける点を踏まえ、社外秘の情報を入れない
- 大きく書き換える前や削除する前に、Word・PDFで控えを書き出す
- 自動承認に切り替えるのは、メール送信や重要ファイルの変更を含まない作業に限る
組織(Team・Enterprise)で管理する場合
- Teamプラン:Docsとクラウド実行が最初からONであることを確認し、残すか切るかを決める
- 「自動承認モード」をメンバーに選ばせるか、組織設定で決める(既定は選べる状態)
- Enterprise:Anthropicからの30日前の連絡を受ける管理者の連絡先を確認する
- 端末の監視ツールでAI利用を見ている場合、クラウド実行は見えないことを前提に、監査ログやOpenTelemetryでの代替を検討する
- Docs内の編集履歴が監査ログに残らないことを踏まえ、確定版の保管場所を決める
統合で「どちらに置くか」を悩む手間はなくなりました。そのぶん、何を開いたままにしておくかは、使う側が決めることになります。
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出典・注記
- Anthropic「Claude Cowork and chat are now one Claude」2026年9月16日。https://claude.com/blog/cowork-is-now-claude
- Claude Help Center「Claude Cowork and chat are one Claude」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/16761823-claude-cowork-and-chat-are-one-claude
- Claude Help Center「Enable and use web search」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/10684626-enable-and-use-web-search
- Claude Help Center「Get started with Claude Docs」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/16923645-get-started-with-claude-docs
- Claude Help Center「Use Claude Cowork on web, desktop, and mobile」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/15520349-use-claude-cowork-on-web-desktop-and-mobile
- Claude Help Center「Use Claude Cowork on Team and Enterprise plans」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/13455879-use-claude-cowork-on-team-and-enterprise-plans
- Claude Help Center「Use Claude Cowork safely」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/13364135-use-claude-cowork-safely
- Claude Help Center「Claude Cowork architecture overview」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/14479288-claude-cowork-architecture-overview
- 2026年9月17日に、ヘルプセンターのサイドバー一覧と、support.claude.com に絞ったWeb検索(語句「Claude Slides」)で確認した範囲。別の場所に存在する可能性は否定できない。
- Claude Help Center「Schedule recurring tasks in Claude Cowork」(2026年9月16日更新)。https://support.claude.com/en/articles/13854387-schedule-recurring-tasks-in-claude-cowork
- Anthropic「Claude for Small Business launches new workflows, integrations, and training programs」2026年9月15日。https://claude.com/blog/claude-for-small-business-launches-new-workflows-integrations-and-training-programs
本記事はCAGの実機検証ではなく、2026年9月17日時点の公式ブログとヘルプ記事をもとにしています(CAG未検証)。いずれもベータ版で、提供条件や初期設定は変わる可能性があります。









