ChatGPT の​ Data エージェントとは​ ──社内データに​質問すると​ダッシュボードまで​作る​新機能、​共有前に​知って​おきたい​こと

OpenAIが9月10日、ChatGPT Workに「Data エージェント」を追加しました。社内データに日本語で質問すると、分析からダッシュボード作成まで進めます。CAGで試すと、頼み方ひとつでダッシュボードに入るデータが変わりました。

甲斐ショウジ甲斐ショウジ
CAG主宰/合同会社ATK CAIO(最高AI責任者)
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技術ChatGPT の Data エージェントとは ──社内データに質問するとダッシュボードまで作る新機能、共有前に知っておきたいこと

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OpenAIは2026年9月10日、ChatGPT Work に「Data エージェント」を追加しました[1]。社内のデータベースや分析ツールにつなぎ、「先月なぜ売上が落ちたのか」と日本語で聞くと、原因を調べ、グラフ付きのダッシュボードまで作ります。SQL(データベースに問い合わせるための言語)を書く必要はありません。

先に結論です。質問するときの権限管理はよくできています。気をつけたいのは、できあがったダッシュボードを人に見せるときです。OpenAIのヘルプ記事には「分析に使ったデータは公開したサイトにコピーされる」と書かれています[2]。CAGで架空の売上データを使って試したところ、頼み方を一文変えただけで、ダッシュボードのファイルに顧客IDや社内メモを含む全120行が入りました

この記事で分かることは4つです。

  1. Data エージェントで何ができるか
  2. 誰が、どのプランで使えるか
  3. 権限はどこで効き、どこから効かなくなるか
  4. CAGの実機検証:頼み方でダッシュボードの中身が変わった
分析ツールの画面。左のチャット欄で売上が落ちた理由を質問し、右にグラフとKPIが並ぶダッシュボードができあがっている
日本語で聞くと、分析とダッシュボードが返ってくる。右上の「共有」を押す前に、中に何が入っているかを知っておきたい

01 Data エージェントとは​何か

Data エージェントは、ChatGPT Work に追加する「プラグイン」です。ChatGPT Work は、手順の多い仕事をAIが最後まで進める機能で、7月に提供が始まりました。プラグインとは、特定の仕事の手順と外部サービスへの接続をひとまとめにした拡張機能のことです。

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使い方は、チャットで @Data と呼びかけて質問するだけです。ヘルプ記事では、「どのデータを、どの期間で、何と比べるか」まで含めて聞くとよいとしています[2]

HOW IT WORKS @Dataに質問 日本語でよい 社内データを取得 質問した人の権限の範囲 原因を調べる 期間比較・根拠を示す ダッシュボード 編集・更新できる 共有・行動 承認した操作だけ実行 つなぐ先:BigQuery・Snowflake・Databricks・Redshift・ClickHouse・MongoDB ほか 既存のBIツール上でも作れる:Tableau・Power BI・Sigma・ThoughtSpot ほか
質問から共有までを1つの会話で進める。データを取りに行く段では、質問した人の権限がそのまま効く

公式発表とヘルプ記事から、できることを整理します[1][2]

できること中身
社内データにつなぐAmazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake、Databricks、ClickHouse、MongoDB、Datadog など。Google Drive や SharePoint の文書も分析に使える
質問して原因を調べる「どこで支出が増えているか」などを聞くと、期間比較や要因の切り分けを行い、根拠も示す
ダッシュボードを作るグラフ付きで、編集・共有・更新ができる。自社のデザインルールを渡して見た目を合わせることもできる
既存のBIツールで作るTableau、Power BI、Sigma、ThoughtSpot、Omni、Oracle BI 上のダッシュボードも操作できる
次の行動につなぐ関係者の特定、Slack やメールでの共有、承認した操作の実行

もう一つ大事なのが「セマンティックレイヤー」です。「売上」「アクティブユーザー」といった指標を、社内でどう定義しているかをまとめたものです。ヘルプ記事は、データの接続と並べて、これを最初に用意することを「強く推奨」しています[2]。部署ごとに「売上」の意味が違う会社では、ここを整えないとAIの答えも部署ごとにずれます。

OpenAIは、社内でもこの仕組みを使っていると書いています。プロダクトチームのほぼ全員と、営業・マーケティング部門の3分の2以上が、自分で社内データを分析しているそうです[1]。先行導入企業にはNTTデータも入っていて、エンジニアではない営業や管理部門の社員が、ダッシュボードを自分で作って更新できるようになったとコメントしています[1]

02 誰が​使えるか

2026年9月13日時点の公式ヘルプから、提供条件をまとめます[2][3][4][5]

項目条件
ChatGPT Work有料プラン向け(Free と Go は対象外)。順次展開中
Data プラグインWork または Codex で使える。ChatGPT Business のリリースノートに9月10日付で掲載
利用量Work と Codex の共通の利用枠を使う(超えた分はクレジット)
管理者の設定「利用可能(各自がインストール)」か「インストール済み(自動で入る)」を選ぶ。Enterprise ではロール(役職などの権限グループ)ごとに許可できる
ダッシュボードの共有(ChatGPT Sites)公開ベータ。ワークスペース(法人契約)、Plus、Pro で使える。EEA・スイス・英国では提供開始時点で使えない

CAGでは、甲斐の個人アカウント(Pro・日本)で Data プラグインが表示され、そのまま使えました。社内のデータベースにつないでいなくても、CSVファイルを添付すれば分析できます。プラグインの説明文にも、アップロードしたファイルやサンプルデータから始められると書かれています。

03 権限は​どこで​効き、​どこから​効かなくなるか

Data エージェントの権限管理は、質問する時点ではよく作られています。公式の説明は次の3点です[1][2][5]

  • 管理者が、どのデータ接続を、どの役割の社員に使わせるかを決める
  • 問い合わせは、接続したアカウントが元々持っている権限で実行される。テーブル単位だけでなく、行単位・列単位の制限もそのまま効く
  • プラグインをインストールしても、データへのアクセス権は増えない

たとえば「自分の担当地域の行しか見られない」営業担当者が質問すれば、AIもその範囲のデータしか取ってきません。

ところが、ヘルプ記事の「ダッシュボードの公開・共有」の節には、次の一文があります[2]

分析に使ったデータは公開したサイトにコピーされるため、共有相手を選ぶときはデータの権限に注意してください。

OpenAI Help Center「Using the Data plugin in ChatGPT Work and Codex」(訳はCAG)

行・列の制限は、データを取り出す瞬間に効くものです。取り出したデータがダッシュボードに入った後は、開いた人に入っているものが見えます。つまり、質問した人の権限で取れたデータが、共有した相手にもそのまま見えることになります。

WHERE PERMISSIONS APPLY ① 取り出すとき:質問した人の権限で絞られる 社内データ(全行) 行・列の制限 接続アカウントの権限 取り出したデータ ダッシュボード データがコピーされて入る ② 共有した後:開いた人に、入っているものが見える 指定した社員 社外の閲覧者 ワークスペースの全員 行・列の制限が効くのは①だけ。②で決められるのは「誰に見せるか」
権限の確認は、データを取り出す段にある。共有の段で設定するのは、閲覧できる相手の範囲

共有の範囲は、ChatGPT Sites(ChatGPT で作ったページを公開する機能)の設定で決まります[3][6]

共有範囲補足
自分とワークスペース管理者だけ新しく作ったサイトの初期状態
指定した社員・グループ社外の人を「閲覧者」として個別に招待することもできる
ワークスペースの全員対応している場合
インターネット上の誰でも公開が許可されている場合のみ
ダッシュボードの共有ダイアログ。自分だけ、指定した人、ワークスペース全員、インターネット上の誰でもの4つから、指定した人が選ばれ、社外の閲覧者も追加されている
共有ダイアログで選ぶのは「誰が開けるか」。ダッシュボードに入っているデータの中身は、ここでは変わらない

プランによって初期設定が違う点も押さえておきます[6]

  • Business:Sites は最初から有効。社外の閲覧者を招待する機能も、Sites の権限の一部として有効
  • Enterprise:インターネットへの公開は初期状態でオフ。管理者が有効にし、ロールに許可を出す必要がある
  • 共通:Sites は、データを保存・処理する地域の指定(データレジデンシー)に提供開始時点で対応していない

04 CAGで​試した​ ──頼み方​ひとつで、​ダッシュボードの​中身が​変わった

「コピーされる」とは、実際にどこまで入るのか。架空の売上データで確かめました[7]

用意したデータは120行のCSVです。列は「月・店舗・担当者・顧客ID・売上・粗利・社内メモ」の7つ。顧客IDは CAGT-CUST-001120、10行ごとの社内メモは CAGT-MEMO-010120 という目印にして、できあがったファイルの中で数えられるようにしました。

同じCSVに、頼み方を2通り変えてダッシュボードを作らせました。

  • A:「店舗別の月次売上と粗利率の推移がひと目で分かるダッシュボードを作ってください。店舗単位の集計だけで十分です。
  • B:「このデータで売上ダッシュボードを作ってください。」

できあがったダッシュボード(HTMLファイル1枚)の中身を数えた結果です。

A(集計だけと指定)B(指定なし)
作業時間4分46秒5分33秒
ファイルの大きさ約286万文字約288万文字
顧客ID0件120件(全件)
社内メモ0件12件(全件)
担当者名0件120行分
店舗×月の集計値ありあり(元の行から再計算)
WHAT ENDED UP IN THE FILE A「店舗単位の集計だけで」 B 指定なし 顧客ID 0件 120件(全件) 社内メモ 0件 12件(全件) 担当者名 0件 120行分(全件) 棒の長さは「CSVにある件数のうち、ファイルに入った割合」。Bはどれも100% 架空の120行CSV・各1回の試行(2026年9月13日・CAG実測)
違いはプロンプトの一文だけ。Bでは、頼んでいない列までファイルに入った

A では、AIが店舗と月で集計してからダッシュボードに入れていました。B では、元のCSVが1行ずつ丸ごとファイルに入っていました。Data の完了報告にも「元CSVの確認機能」「120明細」とあります。明細までさかのぼって確認できるのは、分析の根拠を示すうえでは親切な作りです。一方で、頼んでいない顧客IDや社内メモまで、共有するファイルに入ることになります。

コードエディタでダッシュボードのHTMLファイルを開いた画面。埋め込まれたデータの各行で、顧客IDと社内メモの項目が強調表示されている
画面に出るグラフは集計でも、ファイルの中には元の行が残っていることがある(イメージ)

続けて B を ChatGPT Sites で「自分だけ」の範囲に公開しました(作業時間5分18秒)。ログインしていない状態でそのURLに3回アクセスすると、3回とも「ログインが必要」(HTTP 401)が返り、データは1件も返ってきませんでした。共有範囲の設定自体は、指定どおりに効いています。問題になるのは、範囲を広げたときに中に何が入っているかです。

この検証の限界

  • A・B とも1回ずつの試行です。毎回同じ結果になるとは限りません
  • データベースにはつながず、CSVを添付して試しました。行・列単位の権限制限の挙動は試していません
  • 画面にメモ欄や顧客IDが表示されるかは確認していません(数えたのはファイルの中身です)
  • 公開したサイトの中身が生成ファイルと同じかは、CAG側では照合していません(ChatGPT は「中身を変えずに公開した」と報告しています)

05 使う​前の​チェックリスト

管理者向け

  • Data プラグインを「利用可能」と「インストール済み」のどちらにするか決めた
  • 指標の定義(セマンティックレイヤー)を用意し、部署ごとに「売上」の意味がずれていないか確認した
  • Sites の公開範囲のルールを決めた。Business では Sites と社外閲覧者の招待が最初から有効
  • 顧客情報や人事データなど、行・列の制限で守っているデータがダッシュボードに入った場合の共有ルールを決めた
  • データの保存場所に規制がある業務では、Sites がデータレジデンシーに対応していないことを確認した

使う人向け

  • 共有するダッシュボードは「集計だけで」「顧客IDは含めないで」と、入れるデータの範囲を指示した
  • 共有する前に、ダッシュボードにどの列が入っているかを Data に聞いた
  • 共有相手が、元のデータを見る権限を持っている人か確認した
  • 結果を使う前に、データの出どころ・期間・絞り込み条件・指標の定義を確認した(ヘルプ記事の推奨)

06 まとめ

  • Data エージェントは、社内データに日本語で質問し、分析からダッシュボード作成、関係者への共有まで進める。質問するときは、接続アカウントの行・列単位の権限がそのまま効く
  • ただし、ダッシュボードには分析に使ったデータがコピーされる。CAGの試行では、頼み方を一文変えただけで、顧客IDと社内メモを含む全120行が入った
  • 共有範囲の設定は指定どおりに効く。だから決めるべきなのは、範囲を広げる前に「何が入っているか」を確かめる手順

権限は「データを取り出す人」で効き、共有したダッシュボードは「見る人」を選ばない。共有範囲は、ダッシュボードに入っているデータから決めてください。

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出典・注記

  1. OpenAI「Now everyone can put data to work」2026年9月10日。https://openai.com/index/put-data-to-work/ 対応データソース、行・列単位の権限、社内での利用状況、先行導入企業(NTT DATA ほか)の記述。
  2. OpenAI Help Center「Using the Data plugin in ChatGPT Work and Codex」(2026年9月13日閲覧)。https://help.openai.com/en/articles/20001518-using-the-data-plugin-in-chatgpt-work-and-codex 推奨する事前設定、公開時にデータがサイトへコピーされる旨の記述。
  3. OpenAI Help Center「Creating and managing ChatGPT Sites」(2026年9月13日閲覧)。https://help.openai.com/en/articles/20001339-creating-and-managing-chatgpt-sites 提供プラン、共有範囲、提供地域、データレジデンシー非対応。
  4. OpenAI Help Center「ChatGPT Work and Codex」(2026年9月13日閲覧)および「ChatGPT Business - Release Notes」2026年9月10日の項。https://help.openai.com/en/articles/11391654-chatgpt-business-release-notes
  5. OpenAI Help Center「Plugins in ChatGPT and Codex」(2026年9月13日閲覧)。インストールポリシー、インストールしてもアクセス権は増えない旨。
  6. OpenAI Help Center「Managing ChatGPT Sites for your workspace」(2026年9月13日閲覧)。https://help.openai.com/en/articles/20001338-managing-chatgpt-sites-for-your-workspace Business と Enterprise の初期設定、社外閲覧者の招待。
  7. CAG実測(2026年9月13日)= 甲斐の ChatGPT アカウント(Pro・日本)、Data プラグイン v1.0.8、GPT-5.6 Sol。架空のCSV(120行×7列)を使い、生成されたHTMLファイルの文字列を数えた。各条件1回の試行。公開したサイトへのログインは行っていない。

実測以外の数値・仕様は公式の発表・ヘルプ記事に基づくもので、CAG自身が検証したものではありません。

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