AIに​「見ていい​サイト」を​指定できるようになった​ ──OpenAI・Anthropic・AWSの​3社を​比べて​分かった、​拒否の​され方の​違い

AnthropicとAWSが8月19日、AIエージェントの検索先をドメインで絞る機能を出しました。3社の公式ドキュメントを並べると、設定を書く場所も、拒否されたときに返るものも違います。取得の拒否は記録に残り、検索の除外は残らない──運用で効く非対称まで整理しました。

甲斐ショウジ甲斐ショウジ
CAG主宰/合同会社ATK CAIO(最高AI責任者)
技術9分で読めます
技術AIに「見ていいサイト」を指定できるようになった ──OpenAI・Anthropic・AWSの3社を比べて分かった、拒否のされ方の違い

AIに調べ物を任せると、たまにまとめサイトや古い記事を根拠に、それらしい嘘を書いてくる。これは能力の問題というより、どこを読んだかの問題だ。そして今、その「どこを読むか」を発注する側が指定できるようになっている。

2026年8月19日、AnthropicとAWSが同じ日に、AIエージェントの検索先を絞る機能を出した[1][2]。Anthropicは読んでいいドメインの許可リストと拒否リストを、AWSはドメインに加えて「公開日」での絞り込みを追加し、あわせて東京リージョンでも使えるようにした。OpenAIにも同じ性格の機能が先にある[3]

この記事で扱うのは4つ。①何ができるようになったのか ②3社で何が違うのか ③拒否されたとき何が返ってくるのか ④実際に決めるべきこと。③には、運用に効く非対称がひとつある。同じ「ブロック」でも、記録が残る場合と、何も残らない場合がある。

許可ドメインと拒否ドメインの一覧、および複数の候補が絞り込まれる漏斗が表示された管理コンソール画面
「何を読ませるか」は、モデルの賢さとは別の設定項目になった。出典の質は、出典の範囲で決まる(イメージ)

01 何が​できるようになったのか──読んでいい先を​リストで​渡す

やっていることは単純だ。エージェントに検索や取得をさせるとき、読んでよいドメインの一覧(許可リスト)か、読ませたくないドメインの一覧(拒否リスト)を一緒に渡す。3社とも指定したドメインはそのサブドメインまで含む扱いになる[1][3]

Anthropicの設定は、エージェントに与える道具の一覧の中に書く。次は、検索は2つのサイトだけに限り、取得のほうは1つのホストを禁じて、取り込む分量にも上限をかける例だ[1]

{"type": "web_search", "allowed_domains": ["docs.example.com", "arxiv.org"]}
{"type": "web_fetch", "blocked_domains": ["ads.example.com"], "max_content_tokens": 50000}

Anthropicの公式ドキュメントに載っている設定例(要点だけ抜粋)[1]

ここで見落としたくないのが、検索(web_search)と取得(web_fetch)が別々のリストを持つことだ[1]。「検索は社内の資料だけ、リンクを開くのは広告ドメイン以外なら何でも」といった非対称な運用ができる。

TWO TOOLS, TWO LISTS 検索(web_search) 許可リスト:2サイトだけ 取得(web_fetch) 拒否リスト:広告ドメイン フィルタ エージェントが読む文脈 通ったものだけが、答えの根拠になる
検索と取得で別のリストを持てる。「探す範囲」と「開いていい先」を分けて決められる

02 3社を​並べてみる​──設定する​場所が​違う

同じ「ドメインを絞る」でも、3社で作りが違う。公式ドキュメントから拾えるものを並べるとこうなる。

項目OpenAIAnthropicAWS(Bedrock AgentCore)
書く場所リクエストのツール定義
filters
エージェントの道具の設定
(作成時に決められる)
リクエストごとの
実行時フィルタ
許可/拒否両方(allowed_domains
blocked_domains
両方(検索と取得で
別々のリスト
両方(含める/除外する)
件数の上限100件まで公表なし各リスト100件まで
サブドメイン含む含む
公開日で絞るできる(開始日と終了日)
その他の制御参照した全URLを
sources で取得
取り込み量の上限
検索結果の地域指定
東京・アイルランド
リージョンに拡大

実務で効くのは「書く場所」の違いだ。OpenAIとAWSはリクエストごとに指定する形なので、呼び出す側のコードが正しく書かれていることが前提になる。対してAnthropicはエージェントを作るときの設定に置けるので、組織として先に決めておける。どちらが良いという話ではなく、「誰が守る決まりなのか」が変わる。

もうひとつ、OpenAI側の sources は覚えておきたい。本文の引用に出てこないものも含めて、参照した全URLを返す[3]。フィルタが効いているかを後から確かめる手段になる。

03 拒否された​とき、​何が​返るのか──記録が​残る​側と​残らない​側

ここが今回いちばん実務に効く発見だった。Anthropicのドキュメントは、同じ設定でもツールによって拒否のされ方が違うと明記している[1]

ツール許可されていない相手だったとき
取得
(web_fetch)
エラーとして返る。エージェント側にエラー結果が渡り、エラーコード url_not_allowed が付く
検索
(web_search)
該当する結果が黙って除かれる。エラーは発生せず、結果が少なくなるだけ
左のログには警告付きの行が1件記録されているが、右のログには同じ行がなく、通常の行だけが並んでいる比較画面
ブロックの記録が残る側と、何も残らない側。運用で困るのは後者のほうだ(イメージ)

この差は、あとから「なぜこの答えになったのか」を追えるかどうかに直結する。取得を止めた場合は記録が残るので、リストが厳しすぎることに気づける。検索の場合は、結果が減っただけなのか、そもそも情報が無かったのかを区別できない

許可リストを絞りすぎたまま運用すると、AIは「見つかりませんでした」と答え続ける——けれど本当は、見に行けないだけかもしれない。この形の失敗は、エラーが出ないぶん発見が遅れる。許可リスト型で始めるなら、最初は広めにして、参照元の実績を見ながら絞るのが安全な順番になる。

HOW A BLOCK COMES BACK 取得を止めたとき url_not_allowed エラーとして返るので、あとから追える 検索から除いたとき (消える) 結果が減るだけで、記録は残らない
同じ設定でも、止め方が違えば残るものが違う。監査ログを当てにする運用では、この差を先に知っておきたい

04 AWSだけが​「いつの​情報か」で​絞れる​──古い​記事を​掴ませない

AWSが8月19日に足したもうひとつの軸が公開日での絞り込みだ。開始日と終了日を指定して、その期間に公開されたものだけを検索結果に入れることができる[2]

これは地味に見えて、AIに調べ物をさせるときの失敗を1つ潰す。数年前の仕様や廃止された制度の解説が、今の話として混ざる——これは人間が検索していても起きるが、AIは古い記事も同じ確からしさで扱うので、そのまま結論に混ざりやすい。CAGでも記事を書くときは必ず一次情報の日付を確認する手順を挟んでいるが、その作業を検索の側で先に済ませられる意味は大きい。

PUBLISHED-DATE WINDOW 古い 新しい 指定した期間 期間外は結果に入らない
「どこを読むか」に加えて「いつのものを読むか」も指定できる。鮮度の管理を、答えを作る前に済ませる

そして日本の読者に効くのが、同じ更新で東京リージョンとアイルランドが対象に加わったことだ[2]。これまでは米国東部だけだった。検索そのものを国内で動かせるかどうかは、データをどこで扱うかの話とつながる。

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05 決めて​おく​こと​──4項目

  • 許可リスト型か、拒否リスト型か。 社内資料や公的機関だけを見せたいなら許可リスト、一般の検索は使わせつつ雑音を外したいなら拒否リスト。許可リストは絞りすぎると「見つかりません」に化けるので、広めに始めて実績で狭める。
  • 検索と取得で分けるか。 Anthropicはツールごとに別のリストを持てる。「探すのは限定、開くのは緩め」といった組み方ができる[1]
  • 100件の上限に収まるか。 OpenAIとAWSはリストあたり100件[2][3]。サブドメインは自動で含まれるので、example.com と書けば配下はまとめて対象になる。
  • ブロックを記録に残すか。 取得の拒否はエラーとして残るが、検索の除外は残らない[1]。監査が必要なら、参照した全URLを取得できる仕組み(OpenAIの sources など)とセットで考える。

06 まとめ──出典の​質は、​出典の​範囲で​決まる

やりたいことこれまでこれから
怪しい情報源を
読ませない
プロンプトで「信頼できるサイトを使って」と書く拒否リストで機械的に外す
社内・公的資料だけで
答えさせる
できるかどうかは運任せ許可リストで範囲を固定する
古い情報を
混ぜない
出てきた答えを人が確認するAWSは公開日で絞れる
何を見たか
あとで確かめる
本文の引用しか手がかりがない参照URLの一覧を取得する(OpenAI)

プロンプトで「信頼できる情報源を使ってください」と頼むのは、結局のところお願いでしかなかった。今は設定として書ける。AIの答えの質を上げたいとき、モデルを乗り換える前に、読ませる範囲を決めるほうが早いことがある。

脚注・出典

  1. Anthropic「Managed Agents ─ Tools」ドキュメント Restrict web search and web fetch domains 節(allowed_domains / blocked_domains、ツールごとに別リスト、サブドメインを含む、web_fetchurl_not_allowed のエラー結果・web_search は結果を除外、max_content_tokensuser_location)。同機能は2026年8月19日のリリースノートで追加が告知された/platform.claude.com/docs/en/managed-agents/tools
  2. AWS What's New「Web Search in Amazon Bedrock AgentCore adds domain and published date filtering, expands to Europe and Asia Pacific」2026年8月19日(実行時のドメインフィルタ=1リストあたり最大100件、開始日と終了日を含む公開日フィルタ、欧州(アイルランド)とアジアパシフィック(東京)への拡大)/aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2026/08/web-search-amazon-bedrock/。料金は1,000クエリあたり7ドル(AWS公式ブログの記載)
  3. OpenAI「Web search」ガイド Domain filtering 節(filtersallowed_domains / blocked_domains を各100件まで、プロトコルを除いた表記、サブドメインを含む、Responses APIの web_search ツールのみ対応)および Sources 節(sources で参照した全URLを取得)/developers.openai.com/api/docs/guides/tools-web-search
  4. 本記事はCAGによる公式ドキュメントの読み解きで、各社の機能の実機検証は行っていない(AWSの該当リージョンとAnthropicのManaged Agents環境が必要なため)。掲載した仕様は2026年8月26日時点の各ドキュメントの記述に基づく。

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