2026年8月20日、OpenAIがgpt-image-2 で「背景の無い画像」を直接生成できるようにした(プレビュー提供)[1]。リクエストに background: "transparent" を足すだけで、切り抜き済みのPNGが返ってくる。使える形式は png と webp で、jpeg は指定するとエラーになる[2]。
電脳技巧集団(AI職人ギルド)では今年7月、同じ指定を送ったら400(リクエスト拒否)が返ってきたのを記録していて、それ以来「白い背景で生成してから、外周の白を後処理で抜く」という自前の回避策を使ってきた。今回それが要らなくなったのかを確かめるため、同じプロンプト・同じ設定で新旧を並べて生成し、アルファチャンネルを画素単位で数えた。
この記事で分かることは4つ。①何が変わったのか ②実際に叩いた結果 ③自作の回避策とどこがどれだけ違うのか ④使う前に知っておく注意点。透過PNGは、ECの商品カット・スライド・チラシ・LPのあしらいのように「別の背景の上に置く素材」で必ず要る。切り抜きの外注や手作業のレタッチで吸収していた工程が、生成の時点で終わるかどうかの話になる。
01 何が変わったのか──パラメータが1つ通るようになった
OpenAIのAPI更新履歴、2026年8月20日の項にこう書かれている。透過背景がプレビュー提供で使えるようになった——対象は gpt-image-2 と日付付きの gpt-image-2-2026-04-21、そして Images API と Responses API の画像生成ツールの両方[1]。
画像生成ガイド側の記述はもう少し具体的だ。background に transparent を指定すること、出力形式は png(既定)か webp を使うこと、jpeg は透過に使えないこと[2]。background というパラメータ自体は、以前から透過・不透明・自動の3つの値を取る想定で用意されていた。今回起きたのは値が増えたことではなく、gpt-image-2 でその値が実際に通るようになったことにあたる。
ひとつ補足しておきたいのが、プレビュー提供と書かれている点だ。仕様や挙動が変わる余地があり、正式提供の時期は公表されていない。制作の流れに組み込むなら、後処理の経路も当面は残しておくのが安全側の判断になる。
02 実際に叩いてみた──400は返らなかった
検証には、CAGが普段の記事画像づくりに使っている生成スクリプトをそのまま使った。このスクリプトには以前から「APIに background: "transparent" をそのまま渡す」オプションが付いていて、ヘルプの説明文には「gpt-image-2 は400」と書いてある。7月に踏んだ結果を、そのまま注意書きとして残していたためだ。
題材は、ECサイトの商品カットに近いものを選んだ。白い陶器のコーヒーカップ、立ちのぼる湯気、皿の下のやわらかい影。透過素材として難しい要素を、意図的に3つ入れてある。
1024×1024・品質highで生成したところ、400は返らず、157秒で透過PNGが返ってきた(849KB)。同じプロンプトを従来の回避策でも生成し、こちらは103秒・551KB。2枚とも、この記事に実物を載せている。
03 数字で見た差──「半透明」の列だけが違う
返ってきた2枚のPNGについて、全画素のアルファ値(不透明度。0が完全な透明、255が完全な不透明)を数えた。
| 計測項目 | 公式の透過指定 | 自作の回避策 |
|---|---|---|
| 完全に透明 (α=0) | 65.0% | 48.4% |
| 半透明 (0<α<255) | 35.0% | 0.0% |
| 完全に不透明 (α=255) | 0.0% | 51.6% |
| 白いふちが 残った画素 | 15 | 124,355 |
| ファイルサイズ | 849KB | 551KB |
| 生成時間 | 157秒 | 103秒 |
差が出たのは半透明の列だ。公式の透過指定では画素の3分の1が半透明で、湯気と影がそのまま階調として保存されている。回避策のほうは半透明が1画素も無い。外周から白い画素をたどって消していく処理なので、結果は「消す/残す」の二択にしかならない。
「白いふち」は、透明な画素の隣に残った白っぽい画素の数。公式の透過指定では15画素、回避策では12万画素を超えた。これは濃い色の背景に置いたときに、輪郭が白く光って見える量にあたる。
04 実物を4つの背景に置いてみる──しきい値では解決しない
数字の意味は、実物を見るとはっきりする。同じ透過PNGを白地・濃い地・ゴールド地・市松模様の4種類の上に置いて並べた。市松模様は、透過部分を目で確認するための下敷きだ。
回避策のほうは、白地に置いている限り問題なく見える。ところが濃い地に置くと、背景だったはずの領域に点々が残っているのが分かる。生成された「白い背景」は完全に均一な白ではなく、ごくわずかな濃淡を持っている。白と見なすしきい値から外れた画素が消されずに残り、それが点の集合として浮かび上がる。
ならばしきい値を緩めればいい——と考えたくなる。同じ画像で、白と見なす基準を振って測り直した。
| しきい値 | 完全に透明 | 半透明 | 完全に不透明 |
|---|---|---|---|
| 200 | 90.9% | 0.0% | 9.1% |
| 220 | 87.8% | 0.0% | 12.2% |
| 235 | 81.2% | 0.0% | 18.8% |
| 240(既定) | 48.4% | 0.0% | 51.6% |
| 250 | 48.4% | 0.0% | 51.6% |
しきい値を緩めると、壊れ方が変わるだけだった。235では背景の点々はかなり減る。その代わりカップと皿の白い部分が食われて穴が空く。白い被写体を、白い背景から色だけで見分けることはできない、という当たり前の限界がそのまま出ている。そしてどのしきい値でも、半透明の列は0.0%のまま動かない。
05 使う前に知っておくこと──実測で出た4点
① jpeg との組み合わせは通らない。 公式ドキュメントの記述どおり、エラーが返る。実際に叩いて返ってきた文面は Transparent background is not supported for JPEG output format(コード invalid_transparent_background_output_format)。webp は問題なく生成できた。透過が要る素材はPNG、要らない素材はJPEG、と出し分ける前提で組む。
② 完全に不透明な画素は返ってこない。 今回の1枚では、いちばん濃い画素でもアルファは254で、255は1画素も無かった。合成すれば見た目にはまず分からない差だが、「不透明な部分を検出して切り出す」ような自動処理を後ろに置くなら、判定を255ちょうどで書かないほうがいい(250以上、のように幅を持たせる)。
③ プレビュー提供である。 挙動が変わりうる。既存の後処理の経路をすぐ捨てず、切り替えられる形で残しておく。
④ 白い背景が要る用途もある。 印刷入稿やSNSのサムネイルのように、透過が逆に扱いづらい配布先もある。透過は「後で背景を選べる」形式であって、いつでも上位互換というわけではない。
なお、AIが生成した画像やテキストの扱いについては、配布先ごとの規約や表示の話も絡む。作った素材をどこに置くかを先に決めておくと、形式の選択で迷わなくなる。
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06 まとめ──切り抜きが、生成の時点で終わる
| やりたいこと | これまで | これから |
|---|---|---|
| 商品カットを 背景なしで作る | 白背景で生成 → 白を抜く後処理 | background: "transparent" を足すだけ |
| 湯気・煙・ガラスなど 半透明の表現 | 作れない(二択になる) | 階調のまま返る(実測で35.0%が半透明) |
| 白い被写体の 切り抜き | しきい値次第で被写体まで食われる | 背景と被写体が分かれて返る |
| 濃い背景の上に置く | 輪郭に白が残る(実測12万画素) | 白いふちは実測15画素 |
| JPEGで納品 | — | 透過とは併用できない(400) |
切り抜きは、外注か、手作業のレタッチか、そうでなければ後処理のスクリプトで吸収するものだった。回避策は「白地で使う分には十分」に見えていたが、背景の色を変えた瞬間に破綻することが今回の実測ではっきりした。生成の時点で透過を持たせられるかどうかは、素材の使い回しがきくかどうかの差になる。
脚注・出典
- OpenAI「Changelog」2026年8月20日の項(透過背景がプレビュー提供で利用可能に)/developers.openai.com/api/docs/changelog
- OpenAI「Image generation」ガイド Customize Image Output 節(
background: "transparent"、png/webp、jpegは非対応)/developers.openai.com/api/docs/guides/image-generation - 本文の計測値は、CAGが2026年8月22日に gpt-image-2(1024×1024・品質high)で同一プロンプトを2通り生成し、アルファチャンネルを画素単位で集計したもの。各1枚の生成結果であり、プロンプトや題材が変われば数値は変わる。掲載した比較画像も同日に生成した実物。
- 7月に400が返った件は、CAG社内の作業記録(2026年7月2日)に基づく。当時のエラー本文は保存していない。
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