AIの​費用を​自社の​単価で​見る​ ──Claude Code 2.1.243で​入った、​コストを​見える​化する​3つの​設定

Claude Code 2.1.243に、契約単価で金額を計算する設定・プロンプトキャッシュの寿命指定・繰り返し実行タスクの消費一覧が入りました。キャッシュの倍率(5分1.25倍/1時間2倍/読み出し0.1倍)まで公式ドキュメントで確認し、手元のバージョンで使えるかも実際に測っています。

甲斐ショウジ甲斐ショウジ
CAG主宰/合同会社ATK CAIO(最高AI責任者)
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技術AIの費用を自社の単価で見る ──Claude Code 2.1.243で入った、コストを見える化する3つの設定

AIの開発ツールを社内に入れたとき、最初に困るのは性能ではなく「いくら使ったのか分からない」ことだ。画面に出る金額はあくまで定価での概算で、実際の請求とは違う。上限をかけたくても、何が費用を食っているのかが見えない。

2026年8月25日に公開されたClaude Code 2.1.243は、そこに三方向から手を入れている[1]①自社の契約単価で金額を出す ②プロンプトキャッシュの寿命を自分で選ぶ ③繰り返し実行しているタスクの消費量を一覧にする。どれも派手な新機能ではないが、費用を管理する側にはこちらのほうが効く。

この記事で扱うのは4つ。①何が入ったのか ②「定価やめます」の設定が何を変えるのか ③キャッシュの寿命と費用の関係 ④手元で使えるのか。④は実際に確かめた。結論から言うと、更新しないとまだ使えない。そして②には、公式ドキュメントを読んでも出てこないという事情がある。

セッション費用のパネルで、定価の行が暗く沈み、自社レートの行が明るく表示されているターミナル風の画面
これまで画面に出ていたのは定価での概算。そこに「自社の契約単価で計算する」という選択肢が加わった(イメージ)

01 ​何が​入ったのか──費用まわりに​4つ

変更履歴は長い(バグ修正まで含めると50項目を超える)が、費用と統制に関わるのは次の4つだ[1]

入ったもの何ができるか
modelPricing組織の契約単価と割引率を設定すると、/cost・ステータスライン・利用状況の記録が定価ではなくその単価で計算される
promptCacheTtl
subagentPromptCacheTtl
プロンプトキャッシュの寿命を本体の会話は1時間、サブエージェントは5分のように分けて指定できる
/usage
ループ内訳
繰り返し実行しているタスクごとに、実行回数・合計トークン・1回あたり・最終実行を表示。消費の大きい順に並ぶ
キーレスのサインイン/login からConsoleアカウントでのサインインを選べる。APIキーの配布を許していない組織向け

ほかに、実行ファイルの配布サイズがLinux版で約340MBから約75MBへ圧縮され、セッションあたりのメモリ使用量も40〜70MBほど削減されている[1]。多人数に配る場面では、この差も効いてくる。

02 ​「定価での​概算」を​やめられる​──ただし説明書には​まだ​無い

これまでClaude Codeが表示していた金額は、トークン数に定価を掛けた手元計算だった。公式の費用ドキュメントにも、「プロモーション価格や契約上の割引は反映されないため、実際の請求とは異なることがある」とはっきり書かれている[2]。年間契約で割引を受けている会社ほど、画面の数字は現実から離れる。

2.1.243で入った modelPricing は、ここを置き換える設定だ。モデルごとの契約レートと割引率を管理設定として与えると、/cost・ステータスライン・利用状況の記録が定価ではなくその値で計算される[1]。個人が勝手に変えられない「管理設定」として置かれているのは、金額の基準を組織で一本化するためだろう。

ここでひとつ、書いておくべきことがある。この設定は公式ドキュメントにまだ載っていない。CAGが2026年8月25日に設定ガイド・設定リファレンス・費用ドキュメントの3ページを取得して調べたところ、modelPricing の記述はどのページにも見当たらなかった(同じ版で入った promptCacheTtlmodelPicker は設定リファレンスに掲載済み)[3]。しかも費用ドキュメントは、今も「定価で計算する」という古い説明のままだ。

DOCUMENTED? — CAG CHECK, 2026.08.25 設定ガイド 設定リファレンス 費用ドキュメント promptCacheTtl 掲載あり modelPicker 掲載あり modelPricing 記載なし
同じ版で入った設定でも、説明書への反映はそろわない。手がかりが変更履歴の1行しかない機能がある

つまり現時点で、この設定の存在を知る手段は変更履歴の1行だけだ。導入を検討するなら、書式が固まるまで少人数で試してから配るのが無難だろう。「ドキュメントに無い=使えない」ではないが、「ドキュメントに無い=仕様が動きうる」とは考えておきたい。

03 キャッシュの​寿命は、​費用の​話──長く​持たせる​ほど​書き込みが​高い

プロンプトキャッシュは、同じ前提(指示や資料)を毎回読み直さずに済ませる仕組みだ。読み直しが減るぶん安くなるが、キャッシュに書き込む時点では割増料金がかかる。Anthropicの公式ドキュメントには、この倍率が明記されている[4]

種類基本の入力に対する倍率Sonnet 5 の場合Opus 5 の場合
基本の入力1倍$2 / 100万トークン$5 / 100万トークン
5分キャッシュ
への書き込み
1.25倍$2.50$6.25
1時間キャッシュ
への書き込み
2倍$4$10
キャッシュからの
読み出し
0.1倍$0.20$0.50

読み出しが10分の1になるのだから、使い回せるなら圧倒的に得だ。問題は寿命で、5分で消えるキャッシュは、少し席を外すだけで作り直しになる。1時間持たせれば作り直しは減るが、書き込みの単価は2倍になる。

2.1.243では、この寿命を本体の会話とサブエージェントで別々に指定できるようになった[1][5]。設定はこれだけだ。

{ "promptCacheTtl": "1h", "subagentPromptCacheTtl": "5m" }

設定リファレンスに載っている記述例(値は "5m""1h" の2択)[5]

この組み合わせには理屈がある。人が相手をする本体の会話は、中断が入る前提なので長めに持たせたほうが作り直しが減る。一方サブエージェントは短時間で走り切って終わるので、長い寿命の割増を払う意味が薄い。「全部1時間」でも「全部5分」でもなく、性格の違う2種類を分けて指定できるようになった、というのが今回の変更だ。

CACHE PRICE MULTIPLIERS 基本の入力 1倍 5分キャッシュ書き込み 1.25倍 1時間キャッシュ書き込み 2倍 キャッシュからの読み出し 0.1倍 =使い回せた分だけ、ここまで下がる
棒の長さは公表されている倍率どおり。書き込みの割増をどれだけ読み出しで取り返せるかが、寿命を決める基準になる

もうひとつ覚えておきたいのが、これらの倍率は他の条件と掛け合わさるということだ。公式ドキュメントは、バッチ処理の割引やデータの処理地を指定したときの割増と重なると明記している[4]。処理地の指定は、それ自体が10%の上乗せだった。

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04 ​「気づかないうちに​走り続けている​もの」を​見つける​──ループの​内訳

費用が想定を超えるとき、犯人は人が見ていない場所で繰り返し動いているタスクであることが多い。定期実行を仕掛けたまま忘れる、条件が変わって毎回長考するようになる——止まっていないので、誰も異常だと気づかない。

2.1.243の /usage には、この種類の消費を洗い出すためのループ内訳が入った。繰り返し実行しているタスクを合計トークンの多い順に並べ、それぞれについてどのくらいの頻度で起動しているか・何回走ったか・合計と1回あたりのトークン・最後に走ったのはいつかを表示する[2]。行はタスクの指示文で束ねられるので、いったん止めて作り直したものも同じ行に集約される。

繰り返し実行タスクの一覧表で、最上段の行だけトークン量のバーが突出して長く表示されている画面
並べ替えの基準が「合計トークン」なので、いちばん食っているものが最初に出る。異常は順位で見つかる(イメージ)

費用の管理という観点では、合計額より先に「内訳の並び順」を見るほうが早い。総額だけを追いかけても、増えた理由までは分からないからだ。昨日扱ったGitHub Copilotの件でも、止め忘れたクラウドサンドボックスが静かに積み上がる形が問題だった。どのAIツールでも、費用の話は「見えるか」と「止められるか」の2点に収れんする。

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05 手元で​使えるか​確かめた​──更新しないと​出て​こない

ここまでの機能には、いずれもバージョンの条件がある。ループ内訳とキャッシュ寿命の設定は、公式ドキュメントに「Claude Code v2.1.242 以降が必要」と明記されている[2][5]。そこでCAGの作業環境で実際に確認した(2026年8月25日)。

確認したもの結果
コマンドライン版
claude --version
2.1.227/条件を満たさない
デスクトップアプリが
内蔵している版
2.1.237/条件を満たさない
公開されている最新版
(npmの公開時刻)
2.1.245(2026年8月25日 13時45分・日本時間)

つまり更新しない限り、今日の話はどれも画面に出てこない。ここで注意したいのが、コマンドライン版とデスクトップアプリが内蔵している版は別物だという点だ。手元では10版ぶん離れていた(2.1.227と2.1.237)。片方だけ新しくしても、もう片方は古いままになる。

VERSION CHECK — CAG, 2026.08.25 2.1.227 手元のCLI 2.1.237 アプリ内蔵 2.1.242 ここから使える 2.1.245 公開中の最新
手元の2つはどちらもしきい値の手前だった。「新機能が来た」と「自分の環境に来た」は別の話になる

06 まとめ──総額でなく、​内訳と​単価

やりたいことこれまでこれから(2.1.243以降)
画面の金額を
実際の請求に近づける
定価での概算(割引は反映されない)modelPricing に契約単価と割引率を設定
※ドキュメント未掲載
キャッシュ費用を
調整する
寿命は既定まかせ本体は "1h"、サブエージェントは "5m" のように分けて指定
費用が増えた
理由を探す
総額から推測するしかない/usage のループ内訳を、合計トークンの多い順に見る
APIキーを配らずに
使わせる
キーの発行が前提/login からConsoleアカウントでサインイン

AIツールの費用管理は、総額の監視から、内訳と単価の設定へ移りつつある。今回入ったのは、その両方に手をかけるための設定だ。まず自分の環境のバージョンを確かめ、少人数で試してから配る——この順番なら、説明書が追いついていない部分も含めて安全に扱える。

脚注・出典

  1. Claude Code CHANGELOG 2.1.243(modelPricingpromptCacheTtlsubagentPromptCacheTtl/usage のループ内訳/Consoleアカウントでのサインイン/配布サイズとメモリの削減)。公開日時はnpmレジストリの公開時刻(2026年8月24日 23時10分 UTC=日本時間8月25日 8時10分)で確認/github.com/anthropics/claude-code
  2. Claude Code ドキュメント「Manage costs effectively」(金額は定価で計算し、プロモーション価格や契約上の割引は反映されない旨//usage のLoops行はv2.1.242以降が必要)/code.claude.com/docs/en/costs
  3. 掲載状況の確認は、CAGが2026年8月25日に設定ガイド・設定リファレンス・費用ドキュメントの3ページを取得し、キー名で全文検索した結果に基づく。modelPricing は3ページとも0件、promptCacheTtlsubagentPromptCacheTtlmodelPicker は設定リファレンスに記載あり。取得時点の状態であり、今後掲載される可能性がある。
  4. Anthropic「Prompt caching」ドキュメント Pricing節(5分の書き込みは基本入力の1.25倍、1時間は2倍、読み出しは0.1倍。バッチ割引やデータ所在地などの係数と重なる旨も同節)/platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/prompt-caching
  5. Claude Code 設定リファレンス promptCacheTtl / subagentPromptCacheTtl(値は "5m""1h"、v2.1.242以降が必要)/code.claude.com/docs/en/settings-reference
  6. バージョンの確認は、CAGの作業環境で2026年8月25日に claude --version、デスクトップアプリの内蔵ディレクトリ、npmレジストリの公開情報を実際に参照した結果。環境によって異なる。

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