GitHub Copilotが​Slackと​Teamsに​入った​ ──チャットから​AIに​開発を​任せる​仕組みと、​先に​決める​2つの​こと

GitHubが8月21日、SlackとMicrosoft Teamsの会話から@GitHubとメンションするだけでCopilotに開発作業を任せられるようにしました(公開プレビュー)。便利さの裏で、料金メーターが2種類同時に動くこと、実行できる人はチャットの参加者ではなく権限で決まることを、公式ドキュメントから整理しました。

甲斐ショウジ甲斐ショウジ
CAG主宰/合同会社ATK CAIO(最高AI責任者)
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技術GitHub CopilotがSlackとTeamsに入った ──チャットからAIに開発を任せる仕組みと、先に決める2つのこと

2026年8月21日、GitHubがSlackとMicrosoft Teamsの会話からGitHub Copilotに開発作業を任せられるようにした(いずれもパブリックプレビュー)[1][2]。チャットで @GitHub とメンションすると、その場でエージェントのセッションが始まる。バグ報告の仕分け、失敗の原因調査、コードの変更、そしてプルリクエストを開くところまで、会話を離れずに進む。

「AIに仕事を任せる」がいよいよ普段使いのチャットに降りてきた形だが、入れる前に決めておくことが2つある。料金メーターが2種類同時に動くことと、誰が実行できるかはチャットの参加者ではなくリポジトリの権限で決まることだ。どちらも公式ドキュメントに書いてある。

この記事で分かることは4つ。①何ができるようになったのか ②「みんなで見ながら1体に指示する」形の意味 ③誰が動かせるのかの線引き ④いくらかかるのか。④には、見落とすと効いてくる事実がひとつある。プレビュー中の月10ドルの無料枠は、2026年7月末で終わっている。

チャットのスレッドで @GitHub にタスクを渡し、クラウドサンドボックスでの作業状況とプルリクエストが並んで表示されている画面
会話がそのまま作業場になる。タスクの受け渡しも、進捗の確認も、レビューへの引き渡しもチャットの中で完結する(イメージ)

01 何が​できるようになったのか──会話から​始まって、​PRで​終わる

SlackとTeams、どちらも入口は同じだ。チャンネル・スレッド・ダイレクトメッセージで @GitHub とメンションすると、エージェントのセッションが立ち上がる。Slack側の発表には、Copilotができることがこう並んでいる[1]

できること中身
質問に答えるコードやGitHub上の活動について、会話と許可された範囲のGitHubの文脈を使って答える
Issueを扱うバグ報告の仕分け、既存Issueの更新、新しいIssueの作成とラベル付け
調べて直す失敗の原因を調査し、変更を実装し、安全なクラウドサンドボックスの中で動作を確かめる
レビューに渡すプルリクエストを開き、元になった会話へのリンクを添える

作業は非同期で進む。会議中でも移動中でも動き続け、途中でSlackから方向を変えられる。続きは、開いたプルリクエストから端末やIDEで引き取れる[1]

Slack側にはもうひとつ、専用のコードチャンネルを作れるという仕掛けがある。元の会話を騒がしくせずに、計画・差分・HTMLのような成果物のプレビューをチームで追える場所だ。GitHubは、エージェント向けの新しい種類のチャンネル「Slack Code」のローンチパートナーになっている[1]

CHAT → AGENT → SANDBOX → REVIEW 会話でメンション チャンネル / スレッド / DM セッションが開始 会話と許可された範囲の GitHubの文脈を読む 非同期で動き続ける サンドボックスで検証 変更を実装して動かす ここが別建てで課金される プルリクエスト 会話へのリンク付き 人がレビューして統合 入口はチャット、出口はプルリクエスト。人が最後に見る場所は変わらない
会話から始まってレビューで終わる。既存の開発の流れに割り込むのではなく、入口だけがチャットに移った形

02 ​「ひとりで​頼む」から​「みんなで​見ながら​頼む」へ​──共有セッション

今回の変更でいちばん性格が違うのは、セッションが共有されることだ。GitHubはこれをマルチプレイヤーと表現している。従来のように誰かが個室でエージェントと作業するのではなく、依頼が生まれたその会話の中で、チーム全員が同じセッションを見る[1]

Slackのコードチャンネルでは、元のスレッドから誰でも参加できる。文脈を足す、方針を変える、そしてセッションを止める——これらを参加者ができる[1]。Teams側も同じ思想で、会話にいる人なら誰でも質問し、文脈を足し、計画や方向づけを手伝える[2]

副次的な効果として、GitHubは「他の人がどうプロンプトを書いているかが見えるので学びやすい」と書いている[1]。AIの使い方が属人化しやすい現場では、この「開けた場所で作業する」こと自体が効く。上手い人の頼み方が、そのまま教材になる。

PRIVATE vs SHARED これまで(個室) 結果だけが後からチームに共有される これから(共有セッション) 経過も、頼み方も、止め方も全員に見えている
1体のエージェントを複数人が見て、必要なら止める。「AIの使い方」がチームの共有物になる

03 誰が​動かせるのか──会話の​参加者と、​権限を​持つ人は​違う

ここが導入前に社内で確認しておくべき点だ。会話に入れること変更を実行させられることは別に線が引かれている。

Teams側の発表にはこう書かれている。会話にいる人は誰でも質問し、文脈を足し、計画を手伝える。ただしCopilotに変更をさせられるのは、そのリポジトリへの書き込み権限を持つ参加者だけ[2]。Slack側も、作成されたIssueやプルリクエストはCopilotアプリの識別子に帰属し、操作は既存のGitHubの権限と制御の範囲に収まると明記されている[1]。チャットに招いただけで、リポジトリを触れる人が増えるわけではない。

そのうえでTeams側には、もう一段の歯止めが用意された。リポジトリの管理者は、Teams統合の識別子に紐づくプルリクエストに、追加の承認をひとつ要求できる。もともと2人の承認が必要なリポジトリなら、Copilotが作ったプルリクエストには3人分が必要になる[2]。人を確実に挟むための設定だ。

WHO CAN DO WHAT 会話にいる人(全員) 質問する / 文脈を足す / 計画を手伝う / 方向を変える 書き込み権限を持つ人だけ Copilotに変更を実行させられる(Teamsの記載) 管理者が足せる歯止め 通常のPR = 承認2つ Copilot作のPR = 承認3つ 統合の識別子に対して追加承認を要求できる
会話は開いていても、実行と統合は権限で締まっている。この二段構えが、チャット起点の運用を成り立たせている

04 いくらかかるのか──メーターは​2種類、​動く

ここが今回いちばん見落とされやすい。Teams側の発表には、費用についてこう書かれている。Teamsで始めたクラウドエージェントのセッションはAIクレジットを消費する。組織ではそれを使用量ベースの予算で管理できる。そして——クラウドサンドボックスの利用は別建てで課金され、製品単位またはSKU単位の予算で制御する[2]

つまり、チャットからエージェントを1回動かすと、種類の違う課金が2つ同時に発生する。GitHubの課金ドキュメントを開くと、サンドボックス側の測り方まで書いてある[3]

メーター何を測るか単価
Computeセッションが動いている時間(停止中は計測されない)1秒あたり $0.000024
Memoryセッションに割り当てられたメモリ量(実際に使った量ではない)1GiB秒あたり $0.000003
Storage停止したセッションのスナップショットの保管(削除するまで計測が続く)1GiB月あたり $0.005

1回あたりは小さい。メモリを4GiB割り当てたセッションを1時間動かした場合、CAGの試算ではおよそ0.13ドル(コンピュート0.0864ドル+メモリ0.0432ドル)[4]。問題は金額の大きさではなく、止め忘れと消し忘れが静かに積み上がる形になっていることだ。動かしっぱなしなら時間で増え、止めてもスナップショットを消すまで保管料が続く。

AIクレジットには予算のチップが付いているが、Compute・Memory・Storageの3行には空の予算チップだけが並んでいる課金コンソールの画面
AIクレジットに上限をかけても、サンドボックスの3つのメーターは別の予算で締めないと止まらない(イメージ)

そして、公式ドキュメントの注記がひとつ効いてくる。クラウドサンドボックスは「バンドルされたAIクレジット」の予算の対象外だ。AIクレジット側の予算をいくら締めても、サンドボックスの費用はそこには含まれない。止めたければ製品単位またはSKU単位の予算を別に張る必要がある(「上限に達したら利用を停止する」を有効にすると、100%に達した時点で以降の利用がブロックされる)[3]

もうひとつ、時期の話。プレビュー期間中には月10ドルの無料枠が用意されていたが、ドキュメントにはその枠は2026年7月末までと書かれている[3]。つまり今から試す分には、この無料枠はもう無い。「プレビューだから無料でしょう」という前提で社内に案内すると、最初の請求でずれる。

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05 入れる​前に​決めて​おく​こと​──5項目

  • 対象プランを確認する。 Slackの公開プレビューはCopilot BusinessまたはCopilot Enterpriseの組織が対象[1]。Teamsは有料のCopilotプランで使える[2]
  • 管理者が2つの機能を有効にする。 クラウドエージェントとクラウドサンドボックスの両方。サンドボックスのポリシーはクラウドエージェントと同じ設定を共有する[2]
  • 予算を2本立てで張る。 AIクレジット側の予算と、サンドボックス用の製品単位/SKU単位の予算。後者を忘れると上限が効かない[3]
  • 既定のリポジトリを決める。 Teamsの公開チャンネルでは既定のリポジトリを設定する(ダイレクトメッセージでは使われない)[2]。どのチャンネルがどのリポジトリに紐づくかは、権限の話と直結する。
  • 統合経由のPRに追加承認を要求するか決める。 有効にすると、Copilotが作ったプルリクエストには通常より1つ多い承認が必要になる[2]

06 まとめ──Slackと​Teamsで​書き方が​違う​ところ

同じ日に出た2本だが、書かれている内容には差がある。読み分けておくと社内の説明がぶれない。

項目SlackMicrosoft Teams
対象プランCopilot Business / Enterprise の組織有料のCopilotプラン
費用の説明既存のCopilotの枠を消費し、既存のクラウドエージェント予算で管理できるAIクレジットを消費+サンドボックスは別建て課金(製品/SKU単位の予算)
専用の作業場コードチャンネルを作れる(Slack Codeのローンチパートナー)チャンネル・スレッド・DM
変更を実行できる人既存のGitHubの権限と制御の範囲内書き込み権限を持つ参加者と明記
統合PRの追加承認記載なし要求できる(2承認なら3承認)
既定リポジトリ記載なし公開チャンネルでは設定、DMでは使わない

チャットからAIに開発を任せる、という入口の変更は歓迎していい。ただし入口が広がるほど、締めるべき場所は後ろに移る。実行の権限、統合前の承認、そして2本立ての予算。この3つを先に決めてから配れば、「便利だが誰も止め方を知らない」状態は避けられる。

脚注・出典

  1. GitHub Changelog「The new GitHub Copilot experience in Slack」2026年8月21日/github.blog/changelog/2026-08-21-the-new-github-copilot-experience-in-slack/
  2. GitHub Changelog「Shared agentic work with GitHub Copilot in Microsoft Teams」2026年8月21日/github.blog/changelog/2026-08-21-shared-agentic-work-with-github-copilot-in-microsoft-teams/
  3. GitHub Docs「Billing for cloud and local sandboxes for GitHub Copilot」(3つのメーターと単価、月10ドルの無料枠が2026年7月末まで、バンドルAIクレジット予算の対象外)/docs.github.com/en/billing/concepts/product-billing/cloud-and-local-sandboxes
  4. 1時間あたりの目安はCAGによる試算。公式の単価(コンピュート1秒 $0.000024、メモリ1GiB秒 $0.000003)に、3,600秒・メモリ割り当て4GiBという仮定を当てたもの。割り当てメモリやセッション時間が変われば金額は変わる。為替・税は含まない。
  5. 本記事はCAGによる公式ドキュメントの読み解きで、機能そのものの実機検証は行っていない(対象プランの組織アカウントが必要なため)。

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