AI動画は​「プロンプト一発」から​「HTMLで​作る」へ​ ──HeyGenの​“HyperFrames”と​いう、​動画を​コードに​する​新しい​潮流

「AIで動画」と聞くと、プロンプトを打てば数十秒で動画が出てくる体験を思い浮かべる。でも仕事で困るのは最初の生成でなく、直せるか・前と同じものを作れるか・ブランドを守れるか・どこを変えたか分かるか、のほう。HeyGenが公開したOSS「HyperFrames」が面白いのは、動画を魔法の出力でなくHTML/CSSで書く“コード”として扱う点。GitHubで公開数か月で3万超スター、Apache-2.0、npm v0.7.14(CAG非検証・公式/GitHubベース)。AIコーディングエージェント(Claude Code/Cursor/Codex等)から使う前提で、企画DESIGN.md→台本SCRIPT.md→絵コンテSTORYBOARD.md→HTML作成→lint/snapshotチェック→render の工程をskill(19個)として進める。diffで差分・lintで不備・snapshotで見た目確認・同じ入力で同じ動画=Video-as-Code。Reactで動画のRemotionに対しHTML中心の別の賭け(置き換えでなく用途で選ぶ)。リリース/PR/ニュース/提案/SNSのテンプレ量産に向く。ただし一発で高品質ではない・目視チェック必須・Node22/FFmpeg/フォントの準備・クラウドやTTSは有料枠、という注意も。情報紹介記事。

甲斐ショウジ甲斐ショウジ
CAG主宰/合同会社ATK CAIO(最高AI責任者)
技術9分で読めます
技術AI動画は「プロンプト一発」から「HTMLで作る」へ ──HeyGenの“HyperFrames”という、動画をコードにする新しい潮流

技術ノート | 気になるAIツールを、分かりやすく

「AIで動画を作る」と聞くと、多くの人はこんな絵を思い浮かべる。プロンプトを打ち込むと、数十秒後に動画が出てくる。Veo、Sora、Runway、Kling。生成モデルの進化は確かに速い。けれど、実際に仕事で動画を回そうとすると、最初の生成よりも別のところで困る。直したいときに直せるか。前と同じものを作れるか。ブランドの色やロゴを守れるか。どこを変えたか、後から分かるか

今回紹介するのは、HeyGen が公開しているオープンソースの動画フレームワーク HyperFrames だ。[1] 面白いのは、動画を「魔法の出力」ではなく、HTMLとCSSで書く"コード"として扱うところにある。GitHubでは公開から数か月で3万を超えるスターを集めていて、AI界隈でちょっとした話題になっている。[2]

私たち電脳技巧集団(AI職人ギルド)も、台本から音声・動画までを自動で組み立てる仕組みを自分たちで作ってきた。だから今回は「すごい新ツールが出た」で終わらせず、何ができて、何に向いていて、どこは過信しない方がいいかを、なるべく分かりやすく紹介してみる。なお記事中の数値や機能はHeyGen公式・GitHubの情報に基づくもので、CAGが独自に検証したものではない。

ダークな画面。左にHTML/CSSのコードエディタ、右に動画プレビューとタイムライン(シークバー)。コードが映像フレームに変換されていく様子。シアンとゴールドのアクセント
HyperFramesは、動画をHTML/CSSで書く。コードがそのまま、シークできる動画フレームになる

01HyperFramesって、​どんな​もの?

ひとことで言うと、HTML・CSS・画像や音声・アニメーションから、MP4動画を作るためのオープンソースの道具だ。[1] ライセンスは Apache-2.0、動かすには Node.js 22以上と FFmpeg が必要になる。ふだんWebサイトを作るのと同じHTML/CSSで「動画の見た目」を書き、コマンドでプレビューしたり、MP4に書き出したりできる。

数字も挙げておくと、GitHubでは確認時点で 31,596 スター、npm の最新版は hyperframes v0.7.14(2026年6月27日時点)。[2] 公開は2026年3月なので、半年たらずでこれだけ注目を集めたことになる。スター数は変動するので、あくまで「いま勢いがある」くらいの目安として見てほしい。

02何が​新しい?​ ──​「一発生成」ではなく​「コードと​して​作る」

生成モデルで動画を作るのは、たとえるなら「お願いして、出てきたものを受け取る」体験だ。速くて手軽だけれど、気に入らない部分だけを直すのは難しい。もう一度プロンプトを変えて投げ直すと、別物が出てくることもある。HyperFramesが取るのは反対のアプローチだ。動画をコードで書くから、Webサイトと同じように扱える

2つの作り方 プロンプト一発生成 プロンプト 動画直しにくい 出てきた結果を受け取る Video-as-Code(HyperFrames) HTML / CSS 確認・修正lint / snapshot 再render 書く → 確認 → 直す → 再生成(同じものを再現できる)
プロンプト一発生成は「受け取る」体験。Video-as-Codeは、書いて・確認して・直して・もう一度作れる。動画が"編集できる資産"になる

動画がコードになると、ふだんの開発でやっていることがそのまま使える。変更点を差分(diff)で見る、おかしな書き方を lint で見つける、書き出す前に静止画(snapshot)で見た目を確認する、同じ設定からいつでも同じ動画を作り直す。HyperFramesは「フレームごとに位置を決めて切り出し、つなぐ」やり方で、再現性(同じ入力なら同じ結果)を大事にしている。[5] 一発生成の手軽さとは別の、"仕事で使える地味な強さ"がここにある。

03AIエージェントが、​制作の​"工程"を​進める

HyperFramesがいまの時代らしいのは、AIコーディングエージェント(Claude Code、Cursor、Codex、Gemini CLI、Copilot CLI など)から使うことを前提にしている点だ。[3] 人間がすべてのHTMLを手で書くのではなく、agentが制作の工程を読み分けて進める。そのために「skills(スキル)」という形で、工程ごとの手順が用意されている(確認時点で19個)。[3]

agentが進める制作パイプライン 企画DESIGN.md 台本SCRIPT.md 絵コンテSTORYBOARD.md HTML作成composition チェックlint / snapshot 書き出しrender → MP4
企画→台本→絵コンテ→HTML→チェック→書き出し。各工程がドキュメントとskillに分かれているから、AIエージェントが順に進められる

工程が DESIGN.md(デザイン方針)、SCRIPT.md(台本)、STORYBOARD.md(絵コンテ)のように分かれているのがポイントだ。「いい感じの動画を作って」という曖昧な丸投げではなく、各工程を文章とコードに残しながら進む。だから人間は、台本の段階で方向を直したり、絵コンテで構成を決めたりと、要所だけレビューすればよくなる。AIに渡す仕事が、検証できる単位に分かれている。

04Remotionと、​何が​違うの?

「コードで動画を作る」と聞いて、詳しい人は Remotion を思い出すかもしれない。Reactで動画をプログラムする、すでに定評のある道具だ。HyperFrames は Remotion を否定しているわけではなく、公式の比較でもその系譜を認めたうえで、「React中心」ではなく「HTML中心」という別の賭けに出ている。[4] HeyGenの主張は「AIエージェントにとっては、Reactのcompositionを書くよりHTML+アニメーションを書く方が扱いやすい」というもの。ただしこれはHeyGen側の立場で、第三者の客観ベンチで裏が取れているわけではない。

観点RemotionHyperFrames
書き方React(JSX/コンポーネント)HTML / CSS / アニメーション
立ち位置Reactで動画を作る成熟した基盤HTML中心・AIエージェント前提の新顔
向いている人Reactに慣れた開発者Web標準で書きたい人・agentに任せたい人
関係どちらかが終わる話ではなく、用途で選ぶ「別の選択肢」[4]

※ 比較はHyperFrames公式ドキュメントの記述に基づく。優劣の断定ではなく、設計思想の違いとして読んでほしい。

05これ、​何に​使えそう?

「面白そうだけど、自分の仕事で何に使うの?」が、いちばん気になるところだと思う。動画をテンプレHTML+差し替える文言・数値として持てるのが強みなので、同じ型の動画を量産する用途と相性がいい。たとえば、こんな使い方が考えられる。

ダークなダッシュボードのUIモック。縦型・横型のショート動画テンプレートが並び、リリース紹介・PR説明・ニュース要約・営業提案などのカードに分かれている。各カードに再生ボタンとテンプレ名。シアンとゴールド
動画をテンプレ化できると、文言と数値を差し替えるだけで「同じ型のシリーズ」を量産できる
  • リリース紹介動画:変更履歴(CHANGELOG)と画面キャプチャから、30秒の機能紹介をつくる。
  • PR説明動画:GitHubの変更内容を渡して、何がどう変わったかを短尺で説明する。
  • ニュース要約のショート:毎朝のAIニュースから数本を選び、縦型のショート動画にする。
  • 営業・提案動画:既存のLPや提案資料から、90秒くらいの紹介動画に組み直す。
  • SNS投稿の素材:1投稿1動画のテンプレを用意し、タイトル・数値・CTAだけ入れ替える。

どれも共通しているのは、「一回作って終わり」ではなく「型を作って回す」用途だということ。毎回ゼロから編集ソフトを開くのではなく、テンプレを用意しておいて、中身を差し替えてまとめて書き出す。動画が"コード資産"だからこそできる回し方だ。

06使う​前に、​知って​おきたい​こと

私たちは以前、台本を流し込むと音声・テロップ・動画まで自動で組み上がるパイプラインを自分たちで作ったことがある。その経験から言うと、この「動画をコードで作る」考え方は、地味だけれど本当に効く。一方で、ワクワクしすぎないための注意点もいくつかある。紹介記事として、正直なところも書いておく。

ダークな制作スタジオのUIモック。左に台本・絵コンテのドキュメント、中央にHTMLコンポジション、右に書き出された動画プレビューと、人によるチェック待ちのマーク。シアンとゴールド、一部に確認待ちの控えめな赤
動画をコードにしても、最後に「見て良し悪しを判断する」人の目は残る。そこが品質の分かれ目になる
  • 一発で高品質、ではない。HyperFramesの強みは「魔法の一発生成」ではなく「検証できる手順に分解できる」こと。良い動画になるかは、デザイン・台本・素材・レビューの質しだい。[1]
  • 目で見るチェックは必須。lintが通っても「良い動画」とは限らない。最後は人がプレビューを見て判断する工程が残る。
  • 環境づくりは少し手間。Node.js 22以上、FFmpeg、フォントの違いなど、動かすまでの準備はそれなりにある。[1]
  • クラウド機能やTTSは別枠。クラウドでの書き出しや音声合成などは、HeyGenのアカウントや有料クレジットが関わる部分がある。完全に無料・ローカルだけの話とは分けて考えたい。[5]
  • 万能ではない。実写の編集や映画的な生成映像には、別のツールの方が向く。すべての動画がHTML化に向くわけではない。

それでも、流れははっきりしている。AI動画の次の主役は、もっと派手な生成モデルだけではなく、動画を"作り直せる制作物"として扱う仕組みの方にもある。HyperFramesは、その方向をとても分かりやすく見せてくれる事例だ。気になった人は、まず10秒のSNS用動画を1本だけ作ってみて、「一発でかっこいいか」ではなく「あとから直せるか」を確かめてみるといい。

動画の作り方プロンプト一発生成Video-as-Code(HyperFrames)
手軽さ速い・すぐ出る少し手順は増える
修正作り直しに近い直したい所だけ直せる
再現性同じ結果が出にくい同じ入力で同じ動画
量産毎回ゼロからテンプレ+差し替えで量産
レビューどこを変えたか残りにくい差分・snapshotで確認できる

※ 上表は作り方の傾向の対比であり、特定製品の優劣比較ではない。用途によって最適な手段は変わる。

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出典・脚注

  1. HyperFrames 公式(GitHub README / Introduction)。HTML・CSS・メディア・アニメーションから決定論的にMP4を生成するOSS、Apache-2.0、Node.js 22+ / FFmpeg 前提であることに基づく。
    https://github.com/heygen-com/hyperframeshttps://hyperframes.heygen.com/introduction
  2. GitHub / npm 確認(2026年6月27日時点)。31,596 stars、npm hyperframes v0.7.14。スター数・バージョンは変動する。
    https://www.npmjs.com/package/hyperframes
  3. HyperFrames Skills カタログ。AIコーディングエージェント(Claude Code / Cursor / Codex / Gemini CLI / Copilot CLI 等)向けに、確認時点で19個のskillが提供されていることに基づく。
    https://hyperframes.heygen.com/guides/skills.md
  4. HyperFrames vs Remotion(公式比較)。React中心のRemotionに対し、HTML中心・AIエージェント前提という設計思想の違いに基づく。優劣は用途差として整理されている。
    https://hyperframes.heygen.com/guides/hyperframes-vs-remotion.md
  5. HyperFrames Pipeline / Deterministic Rendering ドキュメント。lint / validate / snapshot / render の検証導線と、フレーム単位の再現性の考え方に基づく。クラウド書き出し・TTS等はHeyGenのアカウントやクレジットが関わる。
    https://hyperframes.heygen.com/guides/pipeline.md

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