気になるAIツールを、分かりやすく
2026年9月27日、Cloudflareは毎年恒例の創業者レターを公開しました[1]。今年の主題はAIエージェントです。AIエージェントやクローラーによる自動の通信は、2026年5月に人間の通信を上回ったと書いています。
レターの中心にあるのは、お店の話です。エージェントに昼ごはんの店を聞くと、近所の1,000軒のメニューを読んで1軒だけを勧める。残りの999軒は、読まれる負荷だけを負う。そしてエージェントは、名前を覚えてくれる店や帰り道にある店を選ぶわけではなく、情報の多い店、つまり古くからある店を選びやすい、という指摘です。
- レターの要点(数字)
- 1,000軒を読んで1軒を勧める——下調べの費用は誰が払うか
- エージェントは「名前を覚えてくれる店」を選ばない
- 今週予告されていること
- 今日できること
- 人の客とエージェントの客
レターに出てくる数字は、Cloudflare自身の計測と見込みです。CAGが検証したものではありません。今週発表されるという具体的な仕組みは、レターの時点では予告だけなので、続報で扱います[5]。
01 レターの要点
レターが挙げた数字を並べます[1]。
| 項目 | レターの記述 |
|---|---|
| 自動の通信が人間を上回った時期 | 当初の予測は2027年後半。実際は2026年5月に前倒しになった |
| 5年後の見込み | 今の傾向が続けば、自動の通信は人間の1,000倍になる(「むしろ控えめ」とも)。人間の通信が減るのではなく、エージェントの通信が急増するため |
| ウェブの広がり | 2012〜2025年はほぼ横ばい(指標によっては縮小)だったが、2025年半ばから新しいサイトが急増。中心はAIで作れるようになった新しい作り手 |
| 開発者の数 | Cloudflareの開発基盤で開発している人は700万人超 |
| 良いbotの取得 | 取得しているものの半分以上は、前回の取得から変わっていない |
02 1,000軒を読んで1軒を勧める——下調べの費用は誰が払うか
エージェントは便利です。航空券・業者・安い携帯プランを探させると、人が午後いっぱいかけて読む量を1分で読み、答えを持って帰ってきます[1]。
ただ、その下調べはただではありません。レターの例では、昼ごはんの店を聞かれたエージェントは近所の1,000軒のメニューを読み、1軒だけを勧めます。勧められた1軒は客を得ますが、残りの999軒は、エージェントに読まれる負荷だけを負い、何も得ません[1]。
レターはこれを「共有地の悲劇」と呼んでいます。エージェントを使って得をする人は、読まれる側にかかる負荷の費用を払っていないので、控える理由がない、という意味です。
03 エージェントは「名前を覚えてくれる店」を選ばない
レターでいちばん中小企業に関わるのは、次の段落です[1]。
小さな店は、感情か便利さで客を得ている。カウンターの人が名前を覚えてくれるからその店に通う。品ぞろえも値段もいちばんではないと知っていても、帰り道にあるから地元の店で買う。エージェントは、誰が名前を覚えてくれるかを気にしないし、帰り道に地元の店の前を通ることもない。いちばん情報の多い店を選び、それはたいてい、いちばん古くからある店だ。
Cloudflare「Cloudflare's 2026 Annual Founders' Letter」(CAG訳・要約)
その結果、エージェントが買い物を担うほど、新しく始めた店が入り込みにくくなり、市場が大手に集まっていくおそれがある、とレターは書きます。
ここから言えるのは、エージェントに選ばれる条件が「情報の量」に寄っていくということです。人の客が来店して感じていた良さは、店の外に文字として出ていなければ、エージェントには見えません。
04 今週予告されていること
Cloudflareは、毎年この時期の「Birthday Week」に新しい仕組みをまとめて発表します。今年のレターは、今週出すものを3つ予告しています[1]。
| 予告 | レターの説明 | 今日の時点で分かっていること |
|---|---|---|
| 読む量を減らす | クローラーが、変わった部分だけを取るようにして、読まれる側の負荷を下げる | 具体的な仕組みは未発表 |
| 使われたら対価を得る | ウェブにコンテンツやアプリを置いている人が、エージェントに使われたときに対価を受け取れるようにする | 既存の「Pay per crawl」はクローズドベータ[3] |
| 提携 | 同じ未来を目指す企業・団体との提携を発表する | 相手は未発表 |
レターは「贈り物の一部は、999軒の店のためのものだ」と書いています。対価を受け取る仕組みが、今のクローズドベータから広く使えるものになるかどうかは、今週の発表を待つ必要があります。
05 今日できること
今週の発表を待たずにできることもあります。
- 自分のサイトを、どのAIが読みに来ているかを見る。サイトがCloudflareを通っていれば、「AI Crawl Control」は全プランで使え、どのAIサービスがどれくらい読みに来たかをダッシュボードで見られます[2]
- 自分のサイトがCloudflareを通っているかを確かめる。通っていなければ、Cloudflareの設定はそもそも効きません。確かめ方と、AIの学習だけを断る設定は、9月の記事で扱いました
- 店の良さを、文字として外に出す。エージェントは情報の多い店を選びやすい、というのがレターの見立てです。来店して初めて分かる良さは、店の外には届きません
関連記事 | 自分のサイトで今日できる設定「検索には残して、AI学習だけ断る」がCloudflareの設定1つでできるようになった ──9月15日から「ブロック」の意味も変わった
→
06 人の客とエージェントの客
レターの内容を、店の側から見た違いとしてまとめます[1]。
| 人の客 | エージェントの客 | |
|---|---|---|
| 店を選ぶ理由 | 名前を覚えてくれる・帰り道にある・気に入っている | 情報が多い(たいてい古くからある店) |
| 読む量 | 数軒を見て決める | 近所の1,000軒を読んで1軒を勧める |
| 店の側の負担 | 来店した分だけ | 勧められなくても、読まれる負荷はかかる |
| 店への見返り | 来店・購入 | 勧められた1軒だけ。対価の仕組みは今週予告 |
エージェントに選ばれるのは、良い店より、よく書かれた店です。
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出典・注記
- Cloudflare「Cloudflare's 2026 Annual Founders' Letter」(Matthew Prince、Michelle Zatlyn・2026年9月27日)。https://blog.cloudflare.com/cloudflares-2026-annual-founders-letter/
- Cloudflare Docs「AI Crawl Control」(2026年9月28日閲覧)。https://developers.cloudflare.com/ai-crawl-control/
- Cloudflare Docs「What is Pay Per Crawl?」(2026年9月28日閲覧。この時点でクローズドベータ)。https://developers.cloudflare.com/ai-crawl-control/features/pay-per-crawl/what-is-pay-per-crawl/
- 引用はCAGによる訳と要約です。
- 本記事はCAGの検証ではありません。レターに出てくる数字(自動の通信が人間を上回った時期、5年後の見込み、開発者数、良いbotの取得のうち変わっていない割合)は、いずれもCloudflare自身の計測と見込みです。今週発表予定の仕組みは、2026年9月28日時点では予告のみで、内容は発表後に変わりえます。









