Anthropicは2026年10月7日、小型AIモデル「Claude Haiku 5.5」を提供開始した。問い合わせの分類、文章の要約、書類からの情報抽出など、件数が多く、待ち時間と費用を抑えたい仕事に向けたモデルだ。[1][2]
業務での選び方は、範囲が明確な繰り返し処理からHaikuを試し、複雑な作業はSonnetなどと比較すること。新しいHaikuは入力する文章量で単価が変わるため、「安くなった」という見出しだけで費用を見積もると条件を見落とす。
新機能、料金、業務活用の具体例、Sonnet 5.5との使い分け、切り替え時の確認点を整理する。この記事は2026-10-08時点のAnthropic公式資料に基づく解説。CAGによる速度・精度の実測は行っておらず、依頼文は用途の提案、費用の例は仮定を置いた試算である。

01 Claude Haiku 5.5とは?何が新しいのか
HaikuはClaudeシリーズの小型モデルで、5.5はHaiku 4.5の後継だ。公式のモデル説明では、大量の分類、情報抽出、処理の振り分けなど、素早く応答する必要がある仕事に位置づけられている。[2]
たとえば届いた問い合わせを担当部署ごとに分ける、長い会議記録を決定事項だけに絞る、注文書から日付と商品名を取り出す。こうした仕事では、一件の処理を軽くし、何度も回せることに価値がある。
5.5では、Haikuシリーズとして初めて「effort」を調整できるようになった。これは、AIが考える量を変え、品質・待ち時間・費用のバランスを調整する設定だ。考える量を仕事に応じて変える仕組みが「adaptive thinking」で、Haiku 5.5では既定で有効になっている。[3][2]
Anthropicは標準速度で使う自社モデルの中で最速としている。ただし、特別な高速モードのOpusより速いという意味ではない。自社の日本語データで何秒になるかは、別に測る必要がある。[3]
利用先にはClaude API、Amazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryなどがある。APIは、自社のアプリや業務ツールからAIを呼び出す窓口のこと。本記事の料金表は、そのうちAnthropicのClaude APIの標準料金を扱う。[1][4]
02 料金はいくら?入力する文章量で変わる条件
トークンは、AIが文章などを処理するときの量の単位だ。文字数と一対一ではなく、言語や内容、モデルによって数え方が変わる。[5]
Haiku 5.5は、入力が10万トークン以下か、10万トークンを超えるかで、入力と出力の両方の単価が変わる。次の表は100万トークンあたりの米ドル価格。キャッシュ書き込みは5分保持の場合である。[4][2]
| モデル・入力条件 | 通常入力 | 出力 | キャッシュ書き込み(5分) | キャッシュ読み込み |
|---|---|---|---|---|
| Haiku 5.5:10万トークン以下 | $0.10 | $0.50 | $0.125 | $0.01 |
| Haiku 5.5:10万トークン超 | $0.50 | $2.50 | $0.625 | $0.05 |
| Haiku 4.5 | $1.00 | $5.00 | $1.25 | $0.10 |
| Sonnet 5.5 | $2.00 | $10.00 | $2.50 | $0.10 |
横にスクロールして、料金と費用を比較できます。
キャッシュは、繰り返し渡す同じ資料や指示を保存して再利用する仕組みだ。初回に保存する部分と、再利用できた部分には、それぞれ専用の単価がある。保持時間を1時間にする場合は書き込み単価が異なるため、上の表とは別に確認する。[6][4]
費用の大きさをつかむため、一件あたり通常入力1,000トークン、課金対象の出力200トークンで、1万件を処理すると仮定する。入力合計は1,000万、出力合計は200万トークンになる。
| モデル | 入力費用 | 出力費用 | 1万件の合計 |
|---|---|---|---|
| Haiku 5.5:10万トークン以下 | $1 | $1 | $2 |
| Haiku 4.5 | $10 | $10 | $20 |
| Sonnet 5.5 | $20 | $20 | $40 |
横にスクロールして、料金と費用を比較できます。
これは3モデルに同じ請求トークン数を仮置きした単価比較で、同じ品質の処理がこの金額で完了するという実測ではない。キャッシュ、追加のツール料金、再試行などは含めていない。処理が複雑になったり、入力を増やしたりすれば前提が変わる。[4][7]
また、Claudeの月額プランとAPIの使用量課金は別の枠だ。Max・Teamには今回APIクレジットが追加されたが、月額契約でAPIを無制限に使えるわけではない。[8]
03 業務でどう使う?具体例を3つ
以下は、公式が挙げる分類・要約・抽出を業務へ置き換えた、架空の入力と依頼例だ。Haiku 5.5を実行して得た回答は掲載していない。出してほしい項目と、人が確認する点を先に決めると、試した結果を評価しやすい。
問い合わせを担当者へ振り分ける
入力例は「請求書の宛名を変更したいです。届いた商品の箱も破損していました」。部署ごとの担当範囲と合わせて渡し、分類と根拠の原文を受け取る。
次の問い合わせを「商品」「配送」「請求」「その他」に分類してください。分類の根拠となる原文を短く引用してください。複数の分類にまたがる場合、または判断材料が足りない場合は「要確認」とし、確認が必要な点を書いてください。
確認したいのは、似た問い合わせが同じ部署に届くか、複数の用件を含む文を見落とさないか。最初は振り分け案を人が確認し、対応の遅れにつながる誤分類を洗い出す。
議事録を決定事項と宿題に分ける
入力例は「発送テストは金曜に佐藤が実施する。公開日は、その結果を見て決める」。決定した作業と、まだ決まっていない予定を分けて受け取る。
会議記録から、決定事項、未決事項、担当者と期限が明記された作業を抜き出してください。それぞれに根拠となる発言を添えてください。担当者や期限が書かれていない場合は「記載なし」としてください。
要約の短さだけで採点すると、必要な宿題が抜けても見逃しやすい。担当者と期限が原文に存在するかまで見ると、日々の運用に使えるかを判断しやすくなる。
書類から必要な項目を取り出す
入力例は「注文日:10月8日。商品:詰め替え用ボトル。数量:30本」。受け取りたい項目を固定して、社内の表へ転記する前に確認する。
この注文書から「注文日」「商品名」「数量」「希望納期」を抜き出し、表にしてください。値が見つからない項目は「記載なし」とし、推測で補わないでください。各値の根拠となる原文も示してください。
確認点は、数字・日付・単位の一致と、空欄を勝手に埋めていないか。読み取りにくい資料や例外の多い書式も、評価用の例に含めておく。
04 Sonnet 5.5との使い分け
HaikuとSonnetの比較は、普段の仕事を同じ依頼文で試すところから始められる。Anthropicの選択ガイドも、回答品質や例外への対応を、自分の用途のデータで評価する方法を勧めている。[7]
Haikuを試しやすいのは、読む範囲と出力の形式が明確で、件数の多い処理。Sonnetを比較対象にしやすいのは、複数の条件を踏まえた分析や、ツールを使いながら進める開発などだ。複雑なAIによる開発作業では、公式発表もSonnet 5.5やOpus 5.5を適した選択肢としている。[7][3]
一つの業務の中で組み合わせる方法もある。運用例として、Haikuが問い合わせを分類し、判断が難しい案件をSonnetへ渡す。その結果から返答案を作り、返金や契約変更の判断は担当者が確認する、という流れを提案する。
「要確認」と書かせた案件だけを調べると、AIが誤って通常処理に回した案件が残る。評価時は、例外案件を含む正解例と突き合わせて、引き継ぎ漏れも確認する。

05 同時発表のSonnet値下げも押さえる
2026年10月7日、Sonnet 5.5のキャッシュ読み込み料金も、100万トークンあたり$0.20から$0.10に引き下げられた。書き込みと、それ以外の単価は変わっていない。[1]
社内の用語集や共通の指示を何度も渡す処理なら、変更のない部分をキャッシュへ回せる。ただし、再利用には対象部分が完全に一致する必要がある。処理ごとに変わる問い合わせ本文や日時まで混ぜると、その部分は再利用の妨げになる。[6]
仮にSonnetで1,000万トークンのキャッシュ読み込みが発生すれば、その部分の費用は$2から$1になる。通常入力、出力、初回の保存にも費用がかかるため、読み込み単価が半額になった割合と、請求総額の減少率は異なる。[1][4]
同時に発表された月次APIクレジットは、Max 5xが$100、Max 20xが$200。TeamはStandard席が$20、Premium席が$100で、チーム合計の上限は月$500だ。API管理画面「Console」の組織との連携と申請が必要で、新規契約者は対象プランの利用開始から7日後に申請できる。[8]
未使用分は次の周期へ繰り越されない。クレジットが尽きた後は、購入済み残高や自動補充があれば利用が続き、それらがなければAPIリクエストが停止する。営業経由の請求契約がある組織では、超過分は通常どおり請求される。Claudeアプリ側の利用上限は増えないため、Consoleで付与額と期限を確認してから試すと予算を分けて管理できる。[8]
06 切り替える前に確認すること
既存のHaiku 4.5を使うシステムでは、モデル名の変更と、API設定・回答の受け取り方の見直しが必要になる。Claude APIの新しい指定名は claude-haiku-5-5 だ。[5]
同じ文章でもトークン数が変わる点は、費用を見積もる際にも影響する。Haiku 5.5では文章を区切る仕組みが更新されており、旧版で測ったトークン数をそのまま新単価へ掛けてはいけない。新モデルで数え直し、長い入力が10万トークンの料金境界をまたぐかも確認する。[5]
開発担当者には、次の確認を依頼できる。
| 確認項目 | 見直す内容 |
|---|---|
| 考える量の設定 | 旧方式の思考トークン予算を送っていないか。5.5ではadaptive thinkingとeffortを使う |
| 回答の取り出し | 最初のデータを本文と決めつけず、思考と本文を種類で見分けているか |
| 出力上限 | 考えるためのトークンも上限に含まれる。必要な本文が最後まで返るか |
| 旧APIパラメーター | temperature・top_p・top_kなど、公式移行ガイドが削除を勧める設定が残っていないか |
| 拒否された場合 | 回答の拒否を通常の回答として転記せず、人の確認へ回せるか |
旧方式の思考設定などはエラーになり得るため、普段の依頼が一件通るだけで移行完了とはしない。短い文章、長い文章、項目の欠けた書類、分類の難しい問い合わせを使い、必要な出力と費用を確かめる。[5]
経営側が見る項目は、正しく処理できた割合、待ち時間、再試行や確認の手間を含む総費用だ。Haikuから試すなら、件数が多く、正解を確認しやすい業務を一つ選ぶ。そこで必要な品質を満たすかを測れば、Sonnetとの使い分けを自社の数字で決められる。
| 仕事の特徴 | 進め方の目安 | 合否を見るポイント |
|---|---|---|
| 分類・要約・項目抽出を大量に繰り返す | Haiku 5.5から試す | 抜け漏れ、原文との一致、件数あたりの費用 |
| 複数条件の分析や、作成と修正を往復する | Sonnet 5.5と比較 | 条件の取り違え、修正回数、完了までの費用 |
| 単純な処理と難しい判断が混ざる | Haiku+Sonnetの分担 | 引き継ぐ条件、引き継ぎ漏れ |
| 返金・契約変更などの確定 | 人の確認を組み込む | 判断根拠と権限、承認の記録 |
出典・確認範囲
以下はすべてAnthropicの一次資料。仕様・料金・提供条件は2026-10-08時点。記事内の費用例はCAGによる算術試算で、モデルの実行結果ではない。
- Claude Platform release notes:October 7, 2026。Haiku 5.5提供開始、Sonnet 5.5のキャッシュ読み込み値下げ、APIクレジット。
- Claude Haiku 5.5:公式モデル説明。用途、思考設定、入力長に応じた料金。
- Introducing Claude Haiku 5.5。Haiku初のeffort調整、速度の注記、複雑な開発作業との使い分け。
- Claude API pricing。通常入出力・キャッシュの単価、ツールなどの追加費用。
- Claude Haiku 5.5 migration guide。トークン数の変化、思考設定、回答の取得、旧パラメーター、拒否の処理。
- Prompt caching。キャッシュの仕組みと、同じ部分を再利用する条件。
- Choosing the right model。モデル選び、用途ごとの評価、複数モデルの組み合わせ。
- Monthly API credits for Max and Team plans。プラン別の金額、申請条件、期限、使い切った後の挙動。









